いま知っておきたい軍隊の基礎知識~その2
- 2017/04/25
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軍隊は戦うだけが任務ではない
軍隊と言えば、戦車や戦闘機、軍艦を操って戦闘行為を行うイメージがあります。実際、それが主な任務であることは間違いではありません。平時には、有事を想定した訓練を繰り返して錬度を上げ、それを維持しています。但し、訓練するのは戦闘だけではありません。実戦において必要となるすべての事柄についての訓練が行われます。
軍隊の職種を考えて見ましょう。陸海空軍、海兵隊やミサイル軍など格別の細かい職種はあるものの、軍隊に共通する職種の主な例として以下のものがあります。(単語の意味としては別の意味で使用される場合もありますが、一例として区分しています。)
・兵科…実際に戦闘を担当する職種です。部隊で言えば歩兵部隊や砲兵隊などの戦闘員です。
・主計科…会社で言えば総務課や経理課などの間接部門に当たります。
・医科(衛生科)…軍医や衛生兵です。
つまり、それぞれの任務に応じた訓練がなされているわけです。個々の軍人の役割を書き出せばきりがないくらいの細かさがありますが、それは、軍隊が自己完結型の組織であり続けるためだと言えます。つまり、任務を遂行するうえで、他の組織の助けを借りずに自分たちだけで行動できることが求められています。
自己完結型組織としての軍隊とは
軍隊における自己完結とは、ざっくりと以下のようなものです。
・軍人の人事管理が自前で出来る
・食料の調達が自前で出来る
・傷病兵の治療が自前で出来る
・軍人の輸送が自前で出来る
・物資の調達が自前で出来る
・戦闘が自前で出来る
・作戦行動に欠かせない企画立案と通信連絡が自前で出来る
・これらに必要な資源エネルギー供給やインフラの整備が自前で出来る
少なくとも、これくらいのことが自前で出来なければ、国防を担う組織として活躍することが出来ません。ただ、要素によっては程度問題でもあります。例えば、食料の調達の場合、何をもって自前と判断するかの問題があります。ある種の外国軍隊のように、農作業から自分たちで行うことが自前であり、民間の作物を買い入れることを自前とは言わないとするなら、自前で出来る軍隊は限られるでしょう。
また、燃料の精製や発電所の運用までを自前の条件とするならば、軍事国家と呼ぶべきレベルの国になってしまいます。
ちなみに、軍隊の自己完結性を現場のレベルで見ることができるのが、原子力潜水艦や原子力航空母艦だと言えるでしょう。多少簡素化した自己完結かも知れませんが、長期間に及ぶ作戦行動を無補給で行える点で自己完結と呼べます。現代の空母は護衛艦艇とチームで行動するものの、アメリカの原子力空母そのものはひとつの街のような規模になっています。
最後に、軍隊は戦うだけが任務ではないという意味には、戦わないために存在するのが軍隊であるとの意義深さもあります。戦う時のために行っている訓練が、イコール敵に戦いを思いとどまらせるための訓練でもあるのです。戦争になった時点で国と国民に被害損害が発生します。もちろん、軍隊と軍人にもです。
「最も戦争を避けたいと願っているのが軍人である」
これが、”普通の国”の軍隊であり軍人でしょう。