終活に考えたい、献体という選択肢

  • 2017/04/03
  • ライフスタイル・娯楽
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  • 八神千鈴
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自分が死んだときのこと、考えていますか?

自分が死んだときのこと、考えていますか?

オヤジ世代になるとそろそろ人生も折り返し地点を過ぎています。両親や、あるいは早すぎる友人との別れを経験した方も少なくないはず。
このときいよいよ気になってくるのが、「自分の番」ではないでしょうか。中でも頭を悩ませるのがお葬式です。費用はかさむし準備は煩わしいし……それを家族に負担させるのが心苦しいと感じる人は増えています。
そこでひとつ、自分が死んだときの選択肢として考えたいのが献体です。献体をすると医学に貢献できるだけでなく、お葬式をする必要もないのです。

 

献体って何? 誰でもできる?

献体をごぞんじですか?

献体とは、医学の教育・研究のために遺体を無条件・無報酬で医科・歯科の大学に提供する行為です。提供された遺体は医学生の解剖学実習で解剖されます。未来の医療従事者に貢献する献体は、医学の発展のために必要不可欠といえるでしょう。
病気や障害を持っている人や、手術を経験している人も献体は可能です。それもまた、教科書とは違うケースとして勉強になるからです。また、臓器提供と献体を同時に希望することも可能です。ただし、この場合は受け付けていない大学もあります。
献体される遺体は亡くなった場所から直接大学に移送してもらえます。解剖後に大学で火葬してもらい、お骨が家族のもとに帰ります。このため、お葬式の必要がないのです。もちろん、希望すればお葬式をあげることもできます。

 

献体登録の方法

近年増加している献体。登録はどのように行えば良いのでしょうか。

献体を希望する人は生きているうちに登録する必要があります。申込先は医科・歯科の大学か、献体をコーディネートする法人です。問い合わせると申込書が送られるので、必要事項を記入して捺印し、返送します。
ここで重要なのは、配偶者・両親・子ども・兄弟姉妹など肉親の同意を得ることです。申込書には肉親の同意の捺印も必要なので、献体の意思を家族にきちんと話しましょう。
申し込みが受理されると、献体登録証という会員証が送られます。この会員証に献体する大学名と死亡時の連絡先が記載されているので、大切に保管しましょう。肉親にもわかるように伝えておいてください。
近年は献体希望者が増加しており、献体を断られることもあるので、希望の献体先は複数ピックアップすると安心です。

 

家族と「死」について語る機会になる

家族と「死」について語ることも大切です

献体でなにより肝心なのは肉親の同意です。献体希望者が死亡したとき、肉親にはもう一度、献体してよいか確認が取られます。ここで肉親がひとりでも反対したら、献体は行われません。このときには自分は死んでいますから、「話が違うぞ」と文句も言えないのです。
献体すると解剖されるまでに最低でも1~2年はかかります。その間、帰宅を待ち続けるのはつらいという人もいます。宗教的な理由で献体を認められない人もいます。献体には肉親との話し合いが欠かせません。
献体は、タブー視されがちな「死」について家族と語り合ういい機会にもなるのです。

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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