出版不況って、本当だったの!?
- 2017/06/20
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シーズン2、絶賛放映中なのか?!
今年の4月から始まったアニメ「進撃の巨人・シーズン2」なのですが……まあ、2013年にやっていたシーズン1と比較しても驚くぐらい話題になっていませんね。とはいっても、この「進撃の巨人」、原作のコミックスは累計販売部数6,300万部!! これがどれだけすごいかというと「北斗の拳」の6,000万部を抜き、「キャプテン翼」や「HUNTER×HUNTER」の6,500万部に迫る勢いとなっているのですから、近年まれに見る大ヒット作に違いがないわけです。
この大ヒット作「進撃の巨人」といえば思い出されるのが、作者の諫山創氏が、デビュー前に「週刊少年ジャンプ」へ「進撃の巨人」を持ち込んだ際のエピソード。
担当編集者は諫山氏の原稿に目を通し「マンガじゃなくて『ジャンプ』を持ってこい」と一蹴したというのです。
その後、諫山氏は持ち込み先を別冊少年マガジンにかえて、その結果は皆さんご存知の通りです。
断られた原稿を持ち込むならばわかるのですが
この様に、ある出版者に断られた作品を別の出版社に持ち込んだというならば、諫山氏の無念の気持ちも充分理解もできますし、出版社・編集者の不明を笑うこともできるのです。
しかし、世の中には同じ作品を同時に別の出版社に売り込み、同時に掲載された挙句、それに気がついた出版社からめちゃくちゃ怒られるという愚行を犯した大馬鹿野郎がおりまして、その名前は太宰治先生。
そんな事態に陥った経緯については不勉強で申し訳ないのですが、その際に出版社に送った詫び状を見かけた際には大笑いさせてもらったのです。場所はとある神田の古書店、販売価格は実に300万円超!! 恥の多い人生も、ここまで極めれば驚きの値段が付くものだと、感心したのを覚えています。
諫山・太宰、両氏に通じる切実さ
諫山氏のエピソードから感じられるのは、自身の作品をスタイルを変えることなく、何とかして世に出したいという切実さ。一方で、それを断ったジャンプの編集者にしても、自身の雑誌のカラーに合っていればヒットするであろうという自負と、そんな作品を見つけ出そう・作り出そうとする切実さがあります。
そして、マガジンの編集者からも、あそこまで低い画力のマンガでも、ヒットするに違いないという自らの眼力に対する自信と、ヒットさせてやろうという切実さを感じるのです。
そして、太宰先生のエピソードにしても摂取する薬物の購入費用に対する切実さや、どこかの芸者としけ込むのに必要な費用を得なければならないという切実さを感じる……まあ、褒められたものではないですが、切実さは感じるのです。
切実さはともかく、誠実さは必要ですよね
一方でいつもこの著者、同じような本を書いているな、という人たちがいらっしゃいます。ビジネス書とか実用書と呼ばれるジャンルによく見られたりして、タイトルと出版社が変わっているだけで、内容はほとんど同じ。それじゃあ、諫山氏どころか、太宰先生以下ではないかと思うのです。
まあ、彼らに諫山氏や太宰先生のごとき切実さを求めるのは間違っているのかもしれません。しかし著者はもちろん、それをコントロールする編集側も、何か作品を世に問うという立場なのですから、そんな切実さのカケラぐらいは持っていてもいいのではないかと思うのです。
中には、同じ著者というならばまだマシ、他の本の企画の丸パクリとしか思えないような本も見られるな……と思っていたら小学館が自社の「やせるおかず 作りおき」という本の丸パクリ、「やせるおかずの作りおき かんたんレシピ177」を出版した新星出版社に抗議したというニュースを目にしました。
あのさあ切実さはともかく、最低でも本を購入してくれるであろう相手の、読者に対しては誠実になろうよ、そんな風に思うのです。貧すりゃ鈍する……いくら出版不況といえどもねえ。