人工透析患者にも旅行や出張の自由を、旅行透析って何?
- 2018/07/11
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腎不全などで、人工透析を受けていると、一生旅行は出来ないと思う人も多いだろう。
確かに、透析で長時間拘束された後に、一日の家事をこなすだけで、体力を使い果たしてしまう人もいる。
その一方で、透析という身体的重いハンデを乗り越え、仕事をするだけでなく、同じ病を抱えた人々が、旅行先で透析を受けられる様にと、ビジターで透析を受けられる病院をデータベース化している会社がある。
それはどこなのか。
社長の苦い経験から起業した会社
『旅行透析』の社長は自身が週3回、7時間、人工透析を受けている。
社長の池間氏は、大学卒業後地方局の報道マンとして働きながら、オフの時には、バックパックで一人旅に出かける旅行好きだった。
30の時に高蛋白、高血圧を健康診断を指摘されつつも、公私充実させる事を優先。
34の時に民放を退職し、沖縄で民宿とレストランを展開し、順風満杯だった4年後の健康診断で腎不全で透析が必要だと診断されてしまったのが9年前。
青天の霹靂だった池間氏は、最後の最後まで医師に食らいついたが、一級の障碍者手帳を手にした時はさすがにめげたという。
民宿を辞め、宮古島観光協会を立ち上げた池間氏だったが、離島なので出張をこなさなければいけない。
だが出張先の病院に電話すると、かかりつけの患者以外受け付けない、4時間以上の透析は不可能と10何か所で断られる始末。
自分の様に、働きたくても働けない人は他にもいるはず。
そんな思いが彼をビジネスの世界に突き動かした。
他にも透析患者のビジター透析をサポートする会社はあるのだが、旅行透析は、それらとどこが違うのか。
患者目線で病院をデータベース化
旅行透析が他の会社と違う所は、社長や社員の一部が患者である事だ。
国内で透析出来る病院は4400箇所あるが、3年かけて電話取材を試み、利用者目線で以下の点を聞いたという。
1:透析できる曜日と時間、料金
2:立地(駅から近いかなど)
3:日曜、オーバーナイト、高血流、6時間以上の長時間透析が可能か
4:テレビの有無、仕事ができるか
5:活性化ビタミンD(オキサロール)の有無
これらが出来る施設を優先的にデータベースに載せ、さらにデータベース化する際には透析患者に作業を分担させる事で、彼、彼女らの意見を聞き、実際に施設を体験してもらい、意見を貰う事を重視。
現在ではGATS(国際透析連携協会)が主催するデータベースと連携し、国内のみならず、アジア諸国にも透析可能なデータベースを広げている。
他の病院で透析を体験する事は、セカンドオピニオンを貰える重要な機会と言う池間氏は、透析の仕方は病院により血流量や時間の長さなど様々で、その人にあうものが一つとは限らないという。
それを探すのも旅行透析、ビジター透析の意味だと語っていた。
では池間氏の最終目的は、何なのか。
東京五輪の選手の支えになりたい
池間氏は、海外出張をこなしながら現地の病院で透析を行い、視察し、日本国内では在宅透析を本格的に広めようと努力している。
池間氏だけでなく、透析患者がビジターで他の病院で透析出来る様、紹介する会社は他にもある。
人工透析機材の大手・フレゼニウス メディカル ケア(FMC)が旅行会社JTBとタッグを組んで、透析患者がビジターで他の病院の施設を利用できるようにしている会社が、ホリデー・ダイアリシスだ。
医療機器メーカーと旅行会社がバックにあるだけでなく、欧州やドバイでの透析や、腹膜透析を受けられるという点で評価されている。
池間氏と同じ視点で、旅行者への透析フォローを行っているのが、大阪旅行だ。
前の社長である油井氏が、腎不全となった経緯から、お客様に不便はかけなくないという思いで、腎不全の患者さん向けに特化した旅行サービスを提供した所、9割がリピートになった。
池間氏は、その先を見ていて、20年の東京五輪で、透析が必要な選手や、選手の家族が日本に来る事を予測しているのだという。
その時に、適切な施設を案内出来るかが、コーディネータを務める会社にかかっているのでは、と考えているのだ。
無論、現代の日本の高額医療や健康保険が下りる医療が抱えている問題はある。
一部の中国人や韓国人が一時ビザで入国し、これら医療をタダ乗りしている事実は許しがたい話だ。
これらを摘発した上で、池間氏が提供するサービスが、快く誰にでも、利用できるようになれば良いと思う。