ヴィンテージのワインを、今さらながら考えてみる

  • 2018/12/09
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「古いもの=価値がある」わけではないという基本

「古いもの=価値がある」わけではないという基本

「ヴィンテージ」なんだか流行っていますよね。
本来は年月を経て味わいがでたものを指すもので、大切に着用された古いデニムパンツや老舗ブランドのアンティークなどのことです。

にも関わらず、単なる古いものに「ヴィンテージ」とつけているケースの何と多いことか。先日、リサイクルショップをのぞいたら掃除機に「ジャンク品・ヴィンテージ」などと書かれているではありませんか。これは単に「壊れている、古い掃除機」という意味ではないのか? と、私、アントニオ犬助は思わず吹きだしそうになったものです。

家電製品は当然として、世の中には古ければ良くなるというものは、ほとんどありません。ヴィンテージと呼ぶのにふさわしいものとは、新品のころからすでに高価で数が少なかったものくらい。なのに、世の中には古い=価値があると思い込んでいる人が、どれほど多いことか。

 

安価なワインは寝かせておいても意味がない

安価なワインは寝かせておいても意味がない

ヴィンテージ、この言葉はワイン由来のもの。元々はブドウの当たり年に造られた、高品質なワインを指す言葉でした。
そのせいではないのかもしれませんが、ワインにおいてもしばしば「古い=価値がある」という勘違いのヴィンテージが発生するもの。
量販店やコンビニエンスストアで購入したようなものは、どれだけ寝かせておいても絶対に価値は上がることはなく、単に古いだけのワインになります。

寝かせるのに適当なワインを求めるならば、1本当たり数万円は支払わなければならないのですが、それを適当に転がしておいても理想的な熟成は進みません。温度、湿度ともに管理された冷暗所に保管すべし。ですから、ワイン好きを自称するような人は、ワインセラーを所有しているものなのです。

 

寝かせるといってもワインセラーでは不十分(らしい)

ワインセラーと聞くと犬助などは、大規模なワイン専用の冷蔵庫を思い浮かべるのです。しかし、ワイン好きはそれでは満足しないらしい。なぜなら温度を調節するためのコンプレッサーの振動が、ワインによからぬ影響を与えると信じているから。

彼らは自宅の地下にワインセラーをしつらえるか、どこかでセラーを借りているらしい。
あるワイン専門店のレンタルセラーでは1ケース12本入りのワインを10ケース、1年間預けると、それだけで6万円強かかるとか。「ワインが趣味」とサラリと語ってしまう人たちは、こんな価値観を持っている人たちなのですね。

 

ヴィンテージよりも価値があるものとは?

ヴィンテージよりも価値があるものとは?

そんなことを考えていたときに、友人の家を訪れる機会があったのですが、そこで犬助はワインがキャビネットにしまわれているのを見てしまいました。友人のお嬢さんの生まれ年のワインだといいますから、成人した日にでもいっしょに栓を開けるのを楽しみにしているのでしょう。しかしそのワインは、犬助が見る限り高価なものでもなさそうですし、保管状態もよろしくはありません。

それじゃあ、単に古くて味がおかしなワインが出来上がるだけだぜ。と、思わず口走りそうになったのですが思いとどまりました。
なぜなら、犬助の乏しい経験では熟成を経たヴィンテージ・ワインも、口にしたときには旨さよりも戸惑いが先に立ったもの。高級とされるワインは犬助の貧乏舌にはなじまなかったのです。

そう考えるとキャビネットで熟成(劣化?)させた、娘の生まれ年ワインというのも、いずれにせよ戸惑ってしまうという点ではヴィンテージと同じではないか? そして単に古くて味が変なワインでも、それを良いと思うことができる価値観を共有している家族や仲間内ならば充分価値があるのではないか? と思ったのです。

だって世間で持てはやされているヴィンテージのデニムパンツにしろ、老舗ブランドのアンティークにしろ、その価値観が共有できない人から見れば、単なる古いジーパンであり、アクセサリーでしかないのですから。

ヴィンテージのものを所有するよりも、いかに価値観を共有できる家族なり友人なりを多く持っていることの方が、よほど尊いのではないか? と、考えた。
単に古いもの=価値がある、大いに結構なことではないですか。

この記事の作者

アントニオ犬助
アントニオ犬助
みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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