確立されたブランドを再構築するという危険性
- 2017/04/21
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ハズレだったという声がある一方で
バーゼルワールドがスイスで開催され、その話題でしばらく持ち切りになる。
これは時計・宝飾業界、桜の時期の風物詩。
新型のロレックス「シードゥエラー」が発表されたり、オメガは「スピードマスター」、「レイルマスター」、「シーマスター」のマスター3姉妹のファーストモデルの復刻版を発表したり。
今年のバーゼルはハズレだったという声がある一方で、まあ、時計好きにとっては結構面白い物が発表されていましたから、近々現物を拝見しなくてはいけないと思っているのです。
ちなみに新型シードゥエラー、定価は120万円、オメガのマスター3姉妹の復刻版はセットで220万円……ってさあ、何か最近えらく高くなってない? 全般的に。
ロゴが「Grand Seiko」と「GS」のみに!!
さて、そんなバーゼルワールドで、ロレックスやオメガを凌ぐ話題となっていたのが、セイコー「グランドセイコー」のリニューアル。
セイコー本体と隣り合ってはいるものの、ブースを別に設けるという力の入れ様で、新しくなったグランドセイコーをアピールしていたのです。
しかしリニューアルの内容がいただけない。
細い機構などの改良もあったのでしょうが、一番目立つリニューアル点が、ダイヤルにあった「SEIKO」のロゴを廃止したこと。
セイコーの製品ならば必ずついていたSEIKOの共通ロゴを廃止して、代わりに「Grand Seiko」と「GS」のロゴが大々的にフューチャー……って、それってやるべきことなのか?
既存顧客の切り捨てにつながりかねないリニューアル
グランドセイコーをリニューアルした理由、この1つとして業績の低迷をあげることができるでしょう。
報道によると何でも近年、セイコーは経常利益の大幅減に悩まされているとか。
そこで、ヨーロッパ方面での需要の掘り起こし、シェア拡大のためグランドセイコーのリニューアルをバーゼルで発表したというのです。
しかし日本でグランドセイコーといえば、会社の偉いさんが愛用するブランドとして浸透しているはずです。
にも関わらず顧客が腕にしているグランドセイコーは旧型ですよ、とアナウンスしてしまうようなデザインのリニューアルはいったいどうなのでしょうか?
これって新規顧客の開拓以前に、既存顧客を切り捨てることになっていないのか? そんな風に感じるのです。
セイコー、何だか迷走していないか?
どうやらセイコーは安価な時計にも、数100万の時計にも共通して入っている「SEIKO」のロゴを整理したいと思っているようです。
しかし「SEIKO」のロゴとはいわばトヨタの共通ロゴのようなもの。
安価なコンパクトにも、クラウンにも入っているからこそ、メーカーに対する信頼性が生まれるというものだという考えになぜ至らないのか疑問に思うのです。
セイコーがやるべきは、レクサスのように新しいブランドの立ち上げだと思いますし、ガランテとかブライツとか多数ある、よくわからないブランドの整理だと思うのですが、いかがでしょうか?
で、もう一つグランドセイコーのリニューアルの件でいっておきたいんですけれど、かこつけて定価上がってません? 何だか迷走していませんかね。日本を代表するマニュファクチュールなのですから、もっと堂々としていてほしいのですが。