大人の男なら一生モノの靴を!でも安易に選ぶべきでない”日本ならではの特徴”とは!?
- 2018/08/10
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8月に入ってから、変な向きに移動する台風がいたり、天候が安定しませんね。雨も梅雨時期より降っている気がするし。
私としてはビーチでのんびり日光浴が出来るくらいの天気でいてくれると良いのですが、まあ大自然相手にそんな都合は通用しませんね。
その大自然が作り出す地形は様々。そこに住む人たちの文化もまた、バリエーション豊かになっていきます。ここ日本もまた特徴のある文化を形成していますね。今回はそんな日本の特徴と靴、特に大人が身に付ける革靴についての、ちょっとしたお話をお届けしましょう。
ウソかホントか、こんな昔話
バブルの頃でしょうか。まあ、だいたいそれくらいかそれ以降の靴にまつわるお話があります。
革靴が大好きで、自分なりにかなり勉強もして、さらに色々と買って楽しむ革靴マニアの日本人がいました。革靴ならイギリスが本場だろうと、イギリスの高級オーダー靴も持っているくらいの猛者です。でもその日本人「最高級」と言われる革靴を履いていても、どうも不満に思う事があってそれが何故か分からない。高いお金を出して買ったのに不満は嫌だし、知らない事があるのも嫌だ、という事でついにはイギリス本国に乗り込み、その職人に直接その不満をぶつける事にします。
日本人は本場イギリスの職人に、自分が買った靴を持って行って、こういう様な不満をぶつけるのです。
「最高級だからと買って履いているのに、靴底がすぐにすり減ってしまうんですよ。この靴でもっと沢山歩きたいのにすぐにすり減るなんておかしい。最高級の名に恥じる出来だと思いませんか?」
この日本人の不満に対する、イギリスの職人の返答は明快でした。
「お前らみたいな(やたら歩くような)庶民の履く靴じゃないんだよ」
イギリスで最高級といえば、例えばロイヤルワラント(イギリス王室御用達)がつく様なものです。つまり、王室を頂点とする上流階級の人たちのためのモノです。そんな人たちが最高級の革靴を履いて「今日は会場まで近いから、一駅くらい歩こうかな」とはならないのです。つまり、そもそもガッツリ歩く為の作りにはなっていないのですね。
まあこの話、実際のところは本当にあった話かどうか分かりません。でも、日本らしさと、日本で履く靴について端的に表しているエピソードだと思うのです。
日本の靴事情とは?
さて、では日本の靴事情とはどんなものか?
1.靴を履く前は、下駄とか草履を履いていました。これらは「一生モノ」という使い方ではないですよね。消耗品の部類に入る。しかも履きやすさを求めるというよりは、最低限の足の保護機能とか、ぬかるみで歩けるという様な機能面からの履き物だった様です。
2.さらに、日本は雨が多いのも特徴として挙げられます。いま、我々が履く靴は足をすっぽりと覆っていますが、その中で足はかなり汗をかいています。日本では特に夏、雨が多く高温多湿なので、靴は中と外から、かなりの水分に晒される、という状況になります。
3.次はアスファルト。日本は道路整備がかなり細かい道まで行き届いているので、どこもアスファルト。これって、靴からすると「全部やすり」みたいなものなんですね。靴底はかなりすり減り易い状態なのです。
4.そして、治安問題。日本は治安が良い。女性が健康のために、仕事帰りに一駅歩いても大丈夫ですよね。それに「このエリアは危険過ぎて近寄れない」みたいな、危険なエリアも基本的にはありません。なので、かなり歩きやすい環境が整っていると言えます。
5.最後に、日本のファッション感。江戸時代に育まれた「いき」という文化は、上流階級、つまりお上から下ってきたものではなく、町人たちの文化から発達したものです。お金があって、日常生活の雑務をしなくて良い様な人たちとは違います。細々とした日常生活も当たり前にある中から美意識を見出していった文化と言えます。
雨が多く湿度の高い日本では、アスファルトが完備している事もあり靴の消耗は激しく、さらに治安が良いのでみんな結構気軽に歩くし、そもそも履き物を消耗品として使ってきた日本人です。これでは、革靴を大事に大事に、たまに履きながら一生モノとして身に付けるという様なイギリス上流階級の感覚が分からなくても当たり前、と言えそうですよね。
一生モノの革靴を選ぶなら
一生モノ、良い響きです。男ならなおさら、この言葉の魅力に惹かれる事でしょう。でもね、形のあるものには寿命があります。人間の寿命に付き合ってくれるほど、長く身に付けられるモノって実はそんなにない、というか殆どないものです。長く使えるといったって、修理を繰り返しながら、というのが現実的なところでしょう。靴もまた然り。特に日本で革靴を選ぶなら、先ほどの通り、靴にはかなりストレスのある環境なのですから、一生モノと出来るかどうかは、選択眼の良し悪しにかかっているといえるでしょう。ロイヤルワラントのつくブランドだから一生モノ!とは安易に言えないのですから。
実際のところは、自分がどんな風に靴を履き、どんな手入れをしてどんな頻度で履くか?にもよりますから、自分なりの一足を選んでいくのが良いですね。あえて、履くときはあまり歩かず、イギリス貴族の様に振る舞う。という事にするのも良いでしょう。
大切なのは、自分の考える「普通」が作り手の「普通」とは違うところにあるかも。という視点です。そこに気付き、違いが分かれば、対処法も見えてくるものです。
ぜひ、今回お伝えした様な事も踏まえながら、自分らしく、長く付き合える靴を選んで欲しいと思います。
素敵な靴は、あなたを素敵な場所へ連れて行ってくれるものですからね。