沖縄から米軍がいなくなったらどこの基地に移動するの?

  • 2018/10/12
  • ビジネス
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沖縄と在日米軍

沖縄といえば在日米軍基地の存在が大きな特徴となっています。それに伴い、いわゆる基地問題も長年の懸案事項であり、メディアでは地元vs政府の対立という構図が定着している感もあります。

そもそも、琉球王国から日本の沖縄県となった沖縄は、第二次世界大戦末期の昭和20年4月に始まった米軍の上陸作戦によって、その全土が戦禍に巻き込まれました。

戦後も長くアメリカの軍政統治下にあったため、沖縄が米軍基地の街となったのも自然な流れだったといえるでしょう。なにより、戦後の東西冷戦構造によって、極東地域における主要拠点の地位に位置したわけです。

沖縄と在日米軍
1972年に沖縄が日本に復帰した後も、その地位に変化があるわけではなく、日米安全保障体制下でも沖縄駐留という形式に変わっただけだといえます。あれから46年が経過し、状況の変化はあったものの、現在も基地問題が続く沖縄です。

さて、日本政府も沖縄に偏重している基地負担の改善を命題にしてはいます。仮に、沖縄の在日米軍がいなくなれば、彼らはどこへ行くのでしょうか?

沖縄からの移転先としては、大きく以下の候補が考えられます。
・日本国内にある他の米軍基地
・日本周辺の他国にある米軍基地
・グアムなど米国領域内
・アメリカ本土

まず、日本国内には沖縄だけでなく、第七艦隊の母港となっている横須賀や、F-16を装備する三沢など、各所にアメリカ陸海空軍の基地が存在します。そのため、小規模な航空部隊や一部艦船の母港などであれば、日本本土にある基地へ移すことも不可能ではありません。

日本周辺の他国にある米軍基地を考えたとき、それぞれに基地負担の問題が生じることから、日本からの移転が容易なこととはいえない現実があります。また、在韓米軍などは規模縮小こそあれ、他所からの部隊を受け入れる選択はないでしょう。さらに、沖縄に変わる「地理的なメリット」も考慮すれば、現実的な移転先は乏しいといえます。

、現実的な移転先は乏しい

 

米軍移転の肝はグアム

沖縄の海兵隊をグアムに移転するなどという話は、数年前に大きく騒がれたものです。この案は、普天間基地の移設などと合わせて、沖縄の負担軽減の柱をなす項目にもなっています。

沖縄にあるすべての米軍基地を外へ移転させることは、そう簡単にできる話でもありません。そこで、目下の重大事は海兵隊の移転です。単純に兵力だけでみても、沖縄に展開する全軍種合わせて2万数千人のうち、4割に近い海兵隊9000人を海外へ移転させることを念頭に置いています。

そのうち、グアムへは4000人が移転する目論見となっており、そのための費用負担が日本政府によって行われているところです。ただし、グアム移転が現実のものとなるのかは議論の残るところであり、予定そのものも2020年代の前半という先の話になっています。

ちなみに、9000人のうち残りの5000人は、ハワイや米本土へ移転する想定です。それでも、沖縄には1万人を超えるアメリカ軍が残ることになります。残存部隊のうち、海兵隊については、引き続きグアムへの移転という選択もありかもしれません。

しかし、他の部隊については、日本本土の基地へ移転するか、ハワイやアメリカ本土へ引き上げるかの選択とならざるを得ないでしょう。プレゼンスとして必要であれば、日本から離れることは無理です。その必要がなければ引き上げることも可能になります。

米軍移転の肝はグアム
ただし、引き上げた部隊の維持経費という問題が生じます。日本に駐留する部隊として必要だったという前提で考えるなら、費用負担の所在がネックになることもあり得る話です。

いずれにしても、沖縄のアメリカ軍が全部いなくなるということは簡単な話ではなく、一部の移転先としてグアムが有力であることと、さらなる移転を促進するなら、日本本土で引き受けるか、米軍が不要なくらいの軍事力を持つかという話になります。

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