現金決済が足を引っ張る日本・世界で広がる電子決済の意外な理由
- 2018/09/19
- ビジネス
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現金決済が日本経済の足を引っ張っている。
製造の現場では、乾いた雑巾を絞るようにコスト削減を叫んでいるのに対し、決済、会社の経理部門は昔と変わらず保守的なのが日本だ。
生産性の高い仕事の雇用を増やし、決済はシステムに任せ、決済の見張り番として優秀なホワイトハッカーを雇用すべきという声が上がる中、日本では一向にキャッシュレスが進まない。
電子決済大国中国を筆頭にキャッシュレスが進む中、他の国では、どの様な決済方法で電子決済が行われているのだろうか。
そしてこれらが抱えている課題は、どの様なものだろうか。
インドと同じ方式のスウェーデン
インドではID番号と、銀行口座を連結させて電子決済を行う『アーダールペイ』が急速に普及している。
戸籍を持たない人が多いインドでは、戸籍の変わりにIDを持つ事が出来るだけでなく、IDひとつで決済出来る事から普及し、電子決済は2022年には、中国に次ぎ、電子決済大国になると予想されている。
それに追いつけおいこせと後を追うのが、スウェーデンだ。
極右政権の民主党の躍進が目覚ましい現在のスウェーデンだが、民主党の活動が盛んになった頃に誕生したのが電子決済サービス『Swish(スウィッシュ)』だった。
スウェーデンでは、出生時に、個人識別番号と電子証明統合した BankIDが割り当てられる。
スウェーデン国内大手銀行11行は、BankIDと個人の銀行口座を結び付け、スマホの電子決済アプリにすることで、電子決済を普及させた。
使い方はアプリを開き、相手の電話番号を入力すれば送金が出来るというもの。’12年にサービスが始まり、今では国民の7割以上が使っている。
スウェーデンやインドでは、銀行と政府が主体、中国では、通信やネット通販会社が主体となり始めた電子決済。
他には、どの様なものがあるのだろうか。
銀行がないので電子決済が普及するアフリカ
ケニアで7年前から導入されている電子決済サービスがMペサだ。
ケニアの通信会社・サファリ.comと、南アフリカのボーダー.coが提携した電子決済サービスで、国民の9割が利用するインフラと化している。
その背景にあるのは、スマホの普及率と銀行だ。
ケニアだけでなくアフリカの銀行の支店の半分~3分の2、酷い場合だとすべてが首都に集中する。
ATMはないがスマホの電波は通る所に住んでいる人が多い為、電子決済が広まったのだ。
国民の需要と供給が一致した形となっているので、Mペサの成功例が確立すれば、今後、アフリカで、同じ様な形の電子決済モデルがうまれるのは間違いない。
では、これら電子決済が抱える問題点。
そして日本の現金決済が抱える問題点は、どの様なものだろうか。
テクノロジーに馴染みのない、お年寄りが、課題
どの国でもそうだが、電子決済の導入で課題となるのは、ITの利用に馴染みのない高齢者、障碍者、過疎地の住民だ。
過疎地の場合、電子決済を利用する為に、整備しなければいけない所も出てくる。
高齢者や障碍者の中には、クレジットカードもデビットカードも使わない人もたくさんいる。
スウェーデンの中央銀行によると、Swish導入前の’10年に、40%あった現金支払の取引は、’16年には15%に減ったという。
国内の現金決済は、減り続けるというが、スウェーデンでは『残り1割』のマイノリティの人々に、生活の利便性や質を損なう事なく、決済方法を電子決済に近づけるかが、課題になっているという。
日本では、実店舗には、お金をかけるが決済システムにはお金をかけない、消費者が選べないのが現状だ。
いくらきらびやかな店舗やサービスを用意したとしても、いざ対価を払う時になって不便さを感じるとなれば、消費者は遠のいていくだろう。
日本ではまだまだ現金決済が根強いが、こうした背景を踏まえて、日本は割引制のプリペイドカードから、キャッシュレスに移行する方法がいいのではと思う。
特定の曜日に、特定の金額を入金すればキャッシュバックもしくはポイント還元するというサービスを行えば、カードに馴染みのない客も、こちらに移行するのではないかと思う。
もしこれで移行しない人がいるとすれば、特定の拘りを持った疾患のある人かもしれない。
スタバでは、スターバックスカードというプリペイドカードがあり、入金して商品を注文すればするほど、『リワード』というポイントがたまる。
一定のリワードが溜まると、700円相当のドリンクと交換できるサービスは消費者にも大ウケなのだが、私がたまにいくスタバには、毎日同じ時間にトールのラテを注文して同じ席に座る、身なりに構わない怪しい中年男がいる。
毎日通うならリザーブが溜まってお得なのに、その男は毎日小銭をジャラジャラ出しているという。
高齢者や過疎地の人間を電子決済やプリペイド決済に説得する事は可能であっても、この様な人が、一番の難題として残るのは間違いないという事は覚えておこう。