気遣いできる人になりたいビジネスマンに捧げる、奥州の覇者・伊達政宗の名言3選
- 2019/02/04
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実は細やかな気遣いができた独眼竜政宗
NHK大河ドラマ不朽の名作といえば、やはり1987年放送の「独眼竜政宗」。平均視聴率39.7%はいまだに歴代大河ドラマのトップで、NHKが2005年に行った好きな大河ドラマアンケートでも第1位に輝きました。このドラマの主人公が、若くして奥州(現在の東北地方太平洋側)の覇者となった戦国大名・伊達政宗です。
18歳で父から伊達家を継ぎ、それからおよそ5年で南奥州を平定した政宗は、ここから関東に打って出て天下を統一する野望を持っていたといわれます。しかし一世代年上の豊臣秀吉や徳川家康がすでに強大な力を持っていたため、その野望はかないませんでした。それでも政宗は誰に対しても心からの臣従はしなかったため、秀吉や家康はひそかに政宗を恐れていたそうです。
このような大胆不敵さや反骨精神が人気につながっている政宗ですが、実は細かい気配りができる人物でもありました。政宗が家族や家臣に出した手紙は、現代にも約1000通が伝わっています。しかも、当時の大名は祐筆という秘書のような家臣に手紙を代筆させるのが通常でしたが、政宗は直筆を好みました。自分の手による手紙を送ることで、相手を大切に思う心を伝えたのでしょう。
現代のビジネスマンも、このような気遣いができれば職場の仲間や部下から慕われる存在になれるはず。そんな政宗の名言を3つご紹介します。
朝夕の食事はうまからずとも褒めて食うべし
「朝夕の食事はおいしくなくても褒めて食べるべきだ」という意味です。これはなにも、口に合わない料理でもおいしいと嘘をついて媚びろという意味ではありません。この名言のあとには「お客の身分なら好き嫌いは言わないだろう」という言葉が続いており、謙虚な気持ちで物事と向き合うことが大切だと説いているのです。
もともと政宗は「この世にはお客としてお邪魔している」という考え方を持っており、嫌なことでもやんわりと断る気配りを大切にしていました。嫌なことを嫌だと意思表示するのは大切ですが、嫌悪感をむき出しにすると空気が悪くなりますよね。なるべく波風を立てない気遣いが、円滑なコミュニケーションを可能にするのです。
また、おいしくない料理でも見た目が美しいとか珍しい食材を使っているとか、褒められるところはいくらでもあります。いいところを見つけてうまく褒め、周囲のモチベーションを上げるのも気配り上手のテクニックといえるでしょう。
仁に過ぎれば弱くなる 義に過ぎれば固くなる 礼に過ぎれば諂いとなる 智に過ぎれば嘘をつく 信に過ぎれば損をする
「優しすぎれば心が弱くなる、筋を通しすぎれば融通が利かなくなる、礼儀を気にしすぎれば慇懃無礼になる、知識を身につけすぎれば嘘をつく、誠実すぎれば損をする」という意味です。
これは中国の思想である儒教の考え方に沿った言葉です。儒教では人として行うべき道を5つの徳目「仁・義・礼・智・信」で示しており、仁は思いやり、義は筋目を通すこと、礼は他人に敬意を払うこと、智は道理や知識、信は誠実さを意味します。どれも大切なことですが、突き詰めすぎれば逆にマイナスの結果を招いてしまうと政宗は考え、この名言を残しました。
たとえば、最近のネットでは行きすぎた正義感から炎上騒ぎが起きることも多いですよね。このような場合、指摘や意見は正論であるだけに制止する手立てがなく、いつまでも炎上が続きます。行きすぎた義は人を苦しめてしまうのです。
いい人間関係を築くには、バランス感覚が大切。徳目を守りながらも匙加減ができてこそ、他人に気配りできる人間になれるのです。
物事、小事より大事は発るものなり
「物事は小さなことから大きなことが起きるのだ」という意味です。現代でも、重大な医療ミスや飛行機事故はささいな問題を放っておいたために起きてしまったということがよくありますよね。
人間関係においても、小さなすれ違いがいくつも重なった結果、仲違いしてしまうことは珍しくありません。しかしそれは、すれ違いがあったときにすぐ関係を修復しておけば避けられることなのです。
政宗はお酒が好きで、羽目を外すほど深酒することもしばしばありました。そして、側に仕える若い家臣の頭を脇差の鞘で殴ってしまったことがあります。そのとき政宗は、数日のうちにその家臣に謝罪する手紙を書きました。部下だからとうやむやにせず、自分が悪かったらすぐに謝る――政宗はこのように小さなことでもしっかり対処したからこそ、家臣団にほころびが出ることもなく奥州を統治できたといえるでしょう。
野心家の面が強調されがちな政宗ですが、このような気遣いができたからこそ信頼されるリーダーとして激動の戦国時代を生き延びられたのです。