原油価格50ドル割れなら喜んで買ってもいいのか
- 2018/11/29
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ガソリンも灯油もほしい冬の日本に嬉しいニュース?
最近はめっきり寒くなり、遅かった冬の便りもようやく北から届くようになった今日この頃。
こうなると寒冷地ではエアコン暖房では物足りないので、石油ファンヒーターや石油ストーブの登場となる。
10月は原油価格が上昇したとかで、まだ真冬でもないのに灯油やガソリン価格が高くなり「今年の冬はたいへんだぞ」と思っていたのもつかの間、なぜかここにきて価格が急降下している。
理由は簡単。その大元となる原油価格が直近から3割も下落しているから。
すると現金なもので「原油価格なんていくら安くてもかまわない」という声が聞こえるが、どっこいそうは問屋が卸さない。
安すぎる原油価格もまた、世界経済の波乱要因になるのである。
どうして安すぎる原油価格は毒なのか
直近の原油価格が本当に底らしい底を打った瞬間といえば2度あって、1回目は08年リーマンショック後の140ドル→26ドルというジェットコースター劇。
そして2回目が16年初頭のいわゆるチャイナショック懸念からの100ドル→30ドルという2番底劇。
それに比べれば今回の下落は76ドル→50ドル(継続中)なので規模としては「調整程度」とも言えるが、現在進行中でもあり、またあまり高くない発射台からの下落でもあり、油断はできない。
前回の暴落時に「なぜ原油価格が安いと困る人(国)がいるのか」については散々記事が出ていた。
大まかに言うと「石油を用いるすべての経済活動は潤うが、その前に原油そのものを産出している国や企業がお手上げになってしまう」ということだった。
日本は原油輸入国であり、産出国側の思惑に触れることがないので原油価格下がったら即万々歳なのだが、これを財政の柱としている国にとっては収入半減につながる一大事。(中にはけっこう脆弱な財政の産油国もある)
よって原油価格にはその時代ごとに「居心地のよい場所」がある。
そもそも世界はクリーンな方向に進んでいるのでは?
リーマンショック後の暴落でも、チャイナショック時の暴落時でも、こんなことをいう人(専門家含む)がいた。
「これで世界はクリーンエネルギーの重要性を確認したので、原油をはじめとする化石燃料の価格はもうあんな高値に戻ることはない」
確かに原油先物でこっぴどくやられた人たちは、みな「そうか、時代が変わったんだ」とばかりその後は一様にクリーンエネルギー信仰に走った。
二千ウン十年代までには欧州でガソリン車がなくなるとか、追い風になりそうな材料をはやしては「原油なんてもういらない感」を必死に演出していた。
けれど…好景気がそうさせたのか、安いから使いたい人がべらぼうに使えるようになってしまったのか、その舌の根も乾かぬうちにリーマン後2年で原油価格は再び100ドル台へ。
そして今度の2回目も30ドルから76ドルへ。
専門家の戯言なんて、しょせん我々のつぶやきレベルなんである。
だから今回も下がれば上がるのでは?
株をやる人で原油価格も見てるよ、という人が少ないのは驚きなのだが、チャンスを捉えれば株より商品価格の方が利益を大きく捉えることができる。
先物なんていらない。いまは連動ETFもよりどりみどり。
原油はけっこうおもしろい投資先になる。
そこでチャートを見ておくのだが、現在のWTI価格50ドル近辺にはこれといった「存在理由」がない。
つまりここが今回の騒動の最終地点(底値)ではないだろうということだ。
前回14年からの下落→逆三尊形成→再上昇の形を見てくと、もう少し下の45、6ドルのあたりには「節目」と呼ばれるなぜかチャートが立ち止まった場所がたくさんある。
実はこれを見ながら2年前に「中期的には今の40ドルから64ドルまで原油は戻るよ」という記事も書いた(実際買った)ことがあるのだが、今度は同じ戦法を下落局面で使うと、45ドル以下は「また買おうかな」と身構えていいレベルにある。
もちろんあのトランプおじさんが何かをやってくるか、OPECの巻き返しがあるのかとか、そういう世界石油情勢を見るのも大事だが、「起きてしまったことに反応する」くらいのんびりでも、投資はちょうどいい。
行く先を予想し始めると結局は丁半バクチになるので、結果を捉えてそのあと今の価格を高いか安いか判断するくらいでいい。
よしんばETFを買ってしばらく動かなくても御の字。
灯油が安ければ、それだけで暖かいクリスマスを送れるのだから。