カルビーが大ピンチ! ジャガイモ被害でつまづいた株価に反発はあるのか
- 2016/09/11
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台風がもたらした思わぬ爪痕
カルビーの株価がさえない。
北海道をこれでもかと襲った台風の被害で、道内のジャガイモ産地は軒並み壊滅的な打撃を受けた。完全復旧には10年以上かかるとみる専門家もいる。
ド定番商品「ポテトチップス」などの原料であるジャガイモの4分の3を北海道産でまかなっていたカルビーは、これをうけて秋の新作発売を延期せざるを得なくなった。
株価はこの事態に敏感に反応し、9月上旬には年初来安値を記録、その後の戻りも鈍い状態が続いている。
優良企業がつまづくとき
市場には、株の買い場を表すいくつもの格言がある。
たとえば「火事に売りなし」。
「火事」は「災害」や「戦争」なんてぶっそうな言葉に置き換えられることもあるが、意味するところは同じもの。
会社が半分吹っ飛ぶような事故はダメかもしれないが、対岸の火事、ボヤ程度で一時的に売られているのなら、心配はいらないという意味だ。
また「新製品でつまづいた会社の2作目は買い」なんていう外国の言葉もあるらしい。
新製品で失敗したといっても、そこから企業は鍛えられ、骨太になる。もう設備投資はいらないのだから、あとは2作目で利益を出すだけ、という寸法らしい。
それもこれも、企業自体が優秀であるという前提条件はつくだろうが。
人材はそろっている
さて、カルビーに話を戻すと、以前同社のCEOである松本晃氏が新卒採用時の面接において、おもしろいことを述べていた。
「面接においては、志望動機など聞かないことだ。学生の倫理観、頭の回転の良さを引き出す、答えのない質問を用意するなど、トップ自身がゆるぎない採用基準をもつべき」
こうして入社した新卒者は、その後も社内で活躍してくれるだけでなく、定着率もぐんと上がったとか。
昔から企業の一番大きな財産は「人」であるといわれる。カルビーに関しては、その土台は堅くできあがっていると言えそうだ。
だいぶ売り込まれた株の反発を狙え
上場以来一貫して上がってきた株価は、食品株としては異例の「10倍出世」を果たした。しかし昨年きれいなダブルトップらしきものを形成してからは、現在も下落トレンドの中にいる。
今の水準をフィボナッチラインで見ると、上場以来の上昇幅のちょうど38.2パーセント押し付近にあたり、いちおう大きな節目に来ているといえる。
また月足、週足、日足チャートともに過熱感がなく、新製品の遅れを取り戻せれば、いつでも株価が反発する下地はある。
ただ、食品株にありがちなPER、PBRの高さは相変わらずなので、果たして今が割安かという議論はつきまとう。
それでもこの企業の元の優秀さは折り紙付きなので、この秋、ヘタなブラック家電量販店株の戻りを待つよりは、よっぽど安全で実のある投資戦略と言えるだろう。