各国の思惑が入り乱れている?通貨スワップ協定の話
- 2018/06/06
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通貨スワップ協定とはなんぞや?
ときおりニュースなどで通貨スワップ協定という話題がでてきます。なにやら怪しげなカタカナがあるなと思うオヤジもいるかもしれませんが、通貨に協定という御堅い単語からわかるように、これは大真面目な事柄です。
通貨スワップ協定を簡単にいえば、国家と国家が自国の通貨が危険になった際に、相手国の通貨による支援を受けるという相互の協力を定めたものといえます。国家といいましたが、厳密には中央銀行であり、日本なら日本銀行です。もっとも、実質的には国家間の協定と考えて問題ないでしょう。国家の意思を無視して中央銀行が(相手も中央銀行だとはいえ)外国と重要な協定を結ぶことなど現実的とはいえません。
具体的には、A国中央銀行とB国中央銀行の間で通貨スワップ協定を結んでいたとします。その前提で、A国の通貨Aが危機に瀕します。危機とは、為替レートの激変や外貨不足などで、通貨流通に責任を持っていることから、中央銀行間での協定のカタチになっているともいえるでしょう。
さた、危機が生じたとき、A国側はAをB国側に預け入れ、B国側はそれに見合うB国の通貨Bを出します。見合うというのは価値ではなく、通貨スワップ協定上の交換レートにしたがうということです。たいていは、見合うほどの価値がAには存在しません。価値があるなら危機には至っていないわけです。だからこその通貨スワップ協定といえます。
もちろん、AとBが逆になることもあり得ます。そうでなければ、片方にだけ都合のよい協定となってしまうためです。しかし、国力などがまったく同じで通貨の価値もまったく同じなどということは珍しいといえるため、実際には、どちらかが損をする?可能性があります。
場合によっては、完全に信用度も価値も異なる通貨間で通過スワップ協定が締結されることもあります。この場合、価値のある側の国としては、助けることがあったとしても、助けてもらえる可能性は限りなく0に等しいといえます。そのような通貨スワップ協定を結ぶには、別のメリットが必要でしょう。たとえば、相手国が崩壊すると困る事情があるなどです。
ちなみに、1対1だけでなく、多国間での通貨スワップ協定もあります。
日本の通貨スワップ協定
通貨スワップ協定では、あらかじめいくらまで交換するかを決めています。危機に陥る可能性が高い側としては、できるだけこの額を高く設定したいところです。ただ、いくら多額の通貨スワップ協定を結んだところで、相手の通貨が国際的にあまり好まれていないものではありがたみも半減といえます。やはり、役に立つのは米ドルであり、日本円、ユーロといった通過です。
日本では、アメリカやEU、イギリスなどと通貨スワップ協定を結んでいますが、こうした話はあまり聞こえてきません。よく耳にするのは日本と韓国の通貨スワップ協定です。しかし、2018年5月現在、この両国間に通貨スワップ協定は存在していません。
存在しない協定がニュースなどで話題になるのはなぜなのか?
実は、かつて両国間には通貨スワップ協定が存在していた時期があります。その額は、最高で700億ドル分にもなっていました。通貨スワップ協定ではあるものの、専ら韓国の金融安定化が目的といわれていたもので、金額の増減もそれに合わせたものとなっています。そして、2013年には終了しました。日銀とは別に、財務省が行った通貨スワップ協定もありましたが、こちらも終了しています。
話題に上るのは、韓国側から「通貨スワップ協定は不要」といいながら、「再開を考えてもよい」との声が上がってくるためだといえます。韓国の経済・金融を考えたとき、事実上一方的に助かる通貨スワップ協定が不要なわけがありません。しかし、日本が望むなら考えないこともないという姿勢を貫くのは、国民向け反日アピールと無関係ではないようです。
こうした事情があるために、日韓の通貨スワップ協定だけが頻繁に話題に上っているといえます。