年末にスーツをオーダーするだけ?和牛赤身しゃぶしゃぶ肉が貰えるからくりとは

  • 2017/12/26
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  • 沖倉 毅
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肥満、ギャンブル、アルコール依存、金欠、バレル不倫や浮気。これらの共通するものは何だろうか。
実は、脳の自制心が働かなくなった結果らしい。

肥満、ギャンブル、アルコール依存、金欠、バレル不倫や浮気。これらの共通するものとは

過去の研究者たちは、本能を自制心で巧くコントロールする為には、何歳ごろから、どんな生活環境で、トレーニングすれば身につくのか実験していた。

しかもそれが現在、ありとあらゆるCMやマーケティングの世界に生かされ、私たちはツラれてモノを買ってると知れば驚くかもしれない。

親が子供に『我慢しなさい』という理由

ヤジアップ世代はかつて子供に『ゲーム買ってほしい』とせがまれ、『だめ!成績あがるまで我慢しなさい!』と言ったものの『どうして?』と子供に聞かれ『・・・・』と言い訳に困った事はないだろうか。

この時に『我慢して成績があがれば、ゲーム以上のいいものが貰える』と親が確証していれば子供は今まで勉強も習い事もサボっていたくせに頑張りだすというデータがある。これは周囲の子供の協力が必要だ。

これを実証したのが米国の社会心理学者ウォルター・ミシェル。
彼女は’68年~’74年にスタンフォード大付属ピング保育園の園児550人を対象に、ある実験を行った。

保育園の園児550人を対象に、ある実験を行った

ベルが置かれたテーブルの前に園児を座らせ、自分が戻ってくるまで待っていたらマシュマロを2個あげる。
今すぐ食べたいのならマシュマロは1個になるけれどあげるというものだった。
園児550人相手に追跡調査を半世紀行い、’14年に調査報告をまとめた所、最後までマシュマロを我慢できた子供はその後の青年期の問題処理能力や学業の成績も高く、パフォーマンスも優秀。思春期~32歳までの肥満も少ない。

これだけはない。
NZ南オダコ地方のダニーデンは、市民の2割が学生という学園都市だが、30年以上新生児1000人を追跡調査し、子供時代の自制心を1~5で段階別に分けた。

すると自制心スコアが1~2の人は、自制心スコア4の人に比べ早期喫煙は1.68倍早く、10代での計画外妊娠は1.79倍高かった。中退を含めた学業放棄については3倍という差が出たのだ。

無論この様な市場調査の結果が世の中の全てではない。
世紀を揺るがす発明を世の中に送り出す人の殆どは、親の敷いたレールには乗らないはみ出し者だ。

だが彼らは学業をこなす事で自制心や忍耐力を見いだせるとは思わず、別の分野で必ず人の何十倍も強い、忍耐力や自制心を見出しているからこそ成功している。
世の中の親は、世の天才が成功する理由と、自分の子供が、何故今我慢をしなければいけないのかという事についてきかれた場合は、ここを説明する必要があるだろう。

スーツオーダー店の、しゃぶしゃぶ肉のからくり

意外かもしれないが『自制心でいかに欲をコントロールするか』という事は既に市場で取り入れられている。

近畿を中心に店舗展開し東京では秋葉原に店舗を構えるオーダースーツ専門店『ツキムラ』では、12月13日~30日のオーダー客に限り、仕上がり時にサイズ変更がなければ5000円相当の和牛しゃぶしゃぶ肉をプレゼントするというものだ。

るオーダースーツ専門店『ツキムラ』

これは年末にスーツをオーダーした客が正月太りでサイズが合わなくなり、年明けは縫い直しの為、工場がフル回転する羽目に陥ったからだった。
こうした余計な手間を省くのと、顧客の自制心に働きかけるというウィン=ウィンの商戦である。

これは行動経済学に基づく理論で、選択肢に手を加える事で、人により望ましい自制心ある行動をとらせる事だ。

例えば、A:今日1万円もらう B:一か月後に10500円貰う
という選択肢を用意すると、自制心のない人はBに不安感を感じAを選択する。ところが、
C:今日1万円もらえるが、来月は0円、D:今日はもらえないが来月は10500円。
と同じ選択肢なのに言葉尻を変えただけで、最初の詰問にAと答えていた人がDに流れ来たのだ。

これは’17年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが、シカゴ大学時代の同僚と共に提唱した論文結果だが、まさか関西のオーダースーツ店がマーケティング店で取り入れていると思わなかったのだろう。

失敗の原因をつきとめ改善することが自制心を磨くコツ

阪大社会経済研究所が行ったウェブ調査では、回答者の自制心と行動パフォーマンスは一致している事が判明した。
自制心が低いと肥満率が高く、タバコ、ギャンブル、酒ばどの依存症になる比率も高い。
消費者金融の利用者も多く、当然の事ながら返済は遅れている。

自制心が低いと肥満率が高く、タバコ、ギャンブル、酒ばどの依存症になる比率も高い

行動経済学では、この様に誘惑になびきやすい衝動的な行動ば大脳辺力系(本能)に由来し、先にあるもっと大きな利益を得ようと我慢する自分は脳の中でも新しく発達した前頭葉(理性)を使うと言う。

が、私たちの生活の全てが理性で判断され行動に移されるものではない。
全てを理性で判断しようとするとストレスがかかり、脳は面倒な思考や分析をはしょり、反射的に行動してしまう事で、我慢ができなくなったり、ミスが出てきたりする。

全てを理性で判断しようとするとストレスがかかり、脳は面倒な思考や分析をはしょり、反射的に行動してしまう事で、我慢ができなくなったり、ミスが出てきたりする

肝心なのは『何故あの時、反射的行動をとったのかという反省をし原因をつきとめ対策を練る事。
これにより自制心は磨かれてきます。

この記事の作者

沖倉 毅
沖倉 毅
ビジネスと国際関連をメインに執筆しています沖倉です。 転職経験と語学力を生かし、語学教師とフリーライターをしています。 趣味は定期的に記録会に出る水泳、3000本以上お蔵入り字幕なしも観た映画、ガラクタも集める時計、万年筆、車、ガーデニング、筋トレです。 どうすれば永遠の男前になれるかをテーマに、取材は匿名を条件に記事執筆に勤しみます。
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