むむむ残念なり…長い宇宙旅行は生体にやがてガンを引き起こす?
- 2018/10/26
- ライフスタイル・娯楽
- 344view
- 旅行/アウトドア
- 健康
- 宇宙
- 旅行
ホンモノの宇宙旅行が目前に迫る中で
莫大なお金さえ積めば近い将来、あの人もこの人も旅行気分で本当に宇宙空間へ飛び出すことができると言われています。
ただその目的地はさまざまで、単なる宇宙空間高度に達するものから、地球周回中のステーションだったり、月だったり、研究者の中には火星や水星を目指している人もいます。
近場なら当然とんぼ返りで地球に帰還するんでしょうから「滞在」とまでは言えませんが、それでも人類に残された最後の未踏の地、宇宙に行かれるという夢とロマンは何物にも代えがたいですよね。
しかし最近、NASA(アメリカ航空宇宙局)からちょっと残念なニュースが飛び込んできました。
今のところどうも(やっぱり)生物は長期間の宇宙旅行に耐えられそうもない、というのです。
宇宙にはやっぱり何か怖いものが存在する
ご存じのように、宇宙空間には生体に害を与える「宇宙線」のような高エネルギーの粒子がバンバン飛び交っているため、これらから宇宙飛行士たちをしっかりガードすることが、何より宇宙安全神話最大のテーマとなってきました。
しかもその量は一定というわけではなく、おもに太陽活動の強さによって絶えず変化しているのだとか。
ですからこれくらい備えておけば大丈夫じゃないか、というライン引きが難しい課題でもあるのです。
残念なことに、専門家の間ではこのような危険な環境に晒される状態を「被ばく」と呼び、飛行士の健康状態を適切に管理しなければならないことになっています。
たとえば国際宇宙ステーション(ISS)滞在時だと、1日で地上の被ばく量に換算して約半年分に相当するといいますから、値が小さいといえども無視はできません。
そしてこの問題が本当に表面化するのは、これから皆が待ち望んでいる「長期間の宇宙滞在」が理由だというのですから、何とも皮肉なものです。
宇宙では生体に何が起きるというのか
有害な宇宙線を長期間浴び続けると、生体の体にはある変化が起こります。
今回の研究者たちはそれを「消化管への永久的な損傷」と表現しています。
実験では擬似的な宇宙空間を作り、その中にマウスを入れて宇宙を再現したというのですが、やがてマウスは消化管に損傷を受けたことで、食べても栄養にならない状態に陥り、やがては腸に腫瘍まで認められたというのです。
このことからNASAでは「長期間の宇宙滞在で(少なくても)宇宙線を浴び続けることになれば、宇宙飛行士の胃腸は大きなダメージを受けることになるだろう」と結論づけています。
ただし、これまでに達成している月までの往復経路くらいであれば、時間にして3日ほどですので、大きな問題はありません。
しかし火星ともなればその移動時間は一気に数か月単位に跳ね上がりますので、今の技術では「ちょっとキツいか…」ということになってしまうのです。
胃薬飲んだり手術はできないの?
さらに不幸なことに、宇宙で一度この症状が発生すると、今の医学では回復する治療法がないとのこと。
地上なら「消化不良→お薬処方」コースかもしれませんが、宇宙空間にいる限りはそれも無理。
「だったらいっそ、手術しちゃえば?」
はい、実はそれも相当困難な道のりなんです。
これは以前から別問題として指摘されているそうで、宇宙で生体の外科手術をするのは非常に難しいんです。
たとえば重力がないことひとつ取っても、血液や体液は落ちずに散らばったまま、そしてなんと臓器自体も地上とは異なる場所に位置が変わるケースさえあるというのです。
地上の楽園とはよく言ったもので、宇宙では私たちの住む緑の星・地球の存在自体がまさに奇跡なのだということに改めて気づかされます。
やっぱり宇宙は金があっても行く所じゃない?
いまや検索すれば一番上にちゃんと「宇宙旅行のご案内」という広告が出る時代ですから、民間人向けの宇宙旅行が可能な時代に入ったことは事実のようです。
ただ「可能」と「快適」は大きな違いで、宇宙というものはそんなに簡単に私たちを受け入れてくれることがありません。
あえていえば、今私たちの宇宙旅行計画はやっとかつての「大航海時代」に入っただけ、なのかもしれませんね。