初めて聞くならこんな噺(はなし)を 落語初心者ネタ3選
- 2016/11/13
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また来たの?第○次落語ブーム到来か
お江戸で静かに流行中の伝統娯楽はいまや「落語」だそうで、若手噺家を追いかけて寄席も連日賑わいを見せている様子。
場所によっては、うら若き女性客にもかなりウケているとか。
いいねえ、こっちも落語は嫌いじゃないからうれしいけど、ネタによっては難しいと感じたり、時代背景の違いで何のことだかスッと飲み込めないこともあるんだよね(歌舞伎も同じか)。
そこで今回は、初心者向けに「ごく穏やかな」ネタをいくつかご紹介しますんで、楽しく奥が深い落語への入口にしてほしいと、まあそういうわけ。
江戸っ子が何人か集まるとたいていこうなるヨタ噺「酢豆腐」
朝から町の若い衆が集まったけど、金もないし、昨晩の酒も少ししか残ってない。これでどうにか飲み直そうと、あれこれ肴を探してドタバタを展開する。
挙げ句の果てに、他人がひどいものを食わされて目を回すのを楽しんじゃう、コメディタッチの噺だね。
「酢豆腐」って、ちょっとなんだかわかんないでしょ。
でも一番最後にしか登場しないから、さんざん噺を楽しんだ上で、安心して謎解きをする楽しみもある、そんな定番でやんす。
ぜひ冬に聞いてほしい!寒くないと一文の値打ちもない「二番煎じ」
「酢豆腐」は夏の噺なんだけど、この「二番煎じ」は冬じゃないとちっともウケないであろう、季節限定品。
火事とケンカは江戸の華、なんて言われてた時代。
大火から自分の財産を守るために町人は「火の用心」の夜回りをするんだけど、あんまり寒いから一杯引っかけないととてもやってられない。
すっかりできあがった見回り衆がお役人に酒を見つかりそうになり……。
あっしはもっぱら「昭和の名人」古今亭志ん朝師匠の二番煎じを聞くんだけど、これは火の用心のかけ声がうまい人じゃないと、堪能した気にならないかもしれないなぁ。
なるほどそうきたか!言葉遊びの代表例「甲府い」
志ん朝師匠が「ごく穏やかなところを一席」って断って始めるくらいだから、これぞ初心者向けの代表作だろう。
甲府から江戸に出てきた男が財布をスラれ、一文無しでヘトヘトになって思わず手が出ちゃった豆腐屋のおから。
ところがひょんな雲行きでこの店で働くことになり、やがて店を任されるまでになり、ある日……。
これ、初めて聞いたとき「ああ、いいオチだな」って心から思った。他の師匠でも聞いたけど、ストーリーはいくつかあるみたい。だけど、やっぱりオチがいい。
ほのぼの、最後にアハハ、それね!っていう感じがとても好き。
聞きやすい噺から入ろう
落語には「人情噺」「郭(くるわ)噺」「大作」なんかもあるんだけど、最初はこういうのがわかりやすいと思う。
そして好きな噺家を見つけて、通うなり、音源を探すなりして、ドップリハマってちょうだいな。奥は深いよ〜。