広告流して無料タクシー?社長は日本最年少起業家・nommocって何?
- 2018/12/06
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’18年5月、福岡のベンチャー企業が、無料配車サービスを始めるという事で、投資家と起業家のマッチングサイト『FUNDINNO(ファンディーノ)』で資金調達をした。
目標金額は5000万、最低金額は1600万とした所、
募集開始から僅か4分30秒で、目標金額の5000万円に到達。
同社サイト中、最速記録で目標金額に達成した事業だったが、実際の事業開始は、
’19年3月、しかも福岡市内限定で試験的に始めるという。
タクシーを無料で乗れるのは、庶民にとって夢のような話だ。
コンセプトを思いついたのは、若干23歳の高卒の社長。
15歳で日本最年少社長になっただけでなく、11歳の時に既に才能を見込まれ、アップルストアで、VJ(ヴィジュアルジョッキー)をしていた吉田拓巳氏。
吉田氏の、手掛けてきた事業は、どんなものだろうか。
好きを仕事にしてきたらお金になった
nommocの代表取締役の吉田氏は、23歳。
バブル入社、就職氷河期真っただ中に入社したオヤジ世代からしてみれば、彼の生き方は『宇宙人』に見えるかもしれない。
吉田氏は、8歳でパソコンをオモチャ代わりに使い、10歳の時には趣味の延長でCGが作れる様になってた。
親のスマホの写真で、音楽付きスライドショーを作った事がきっかけになり、父親の友人に頼まれ、結婚式の時に流す、思い出の写真をBGM付きのスライドショーを作った所、評判が口コミで広がり、一作品で万単位のお小遣いを貰える様になったのだから羨ましい限りだ。
ここまでなら、今時の子供の趣味の延長で、お小遣いを貰うという事に過ぎなかったかもしれない。
吉田氏は、作ってきた作品をYoutubeを通してネットに発表し、それがアップルの目に止まった事から、11歳でVJを務めることになった。
15の時に『セブンセンス』を起業したのも、名声や地位名誉が欲しかったわけではなかったという。
今やりたい事をやろうと思うと一人では限界があるから会社にして、人に集まって貰った方がいいという考えで組織化したという成り行きだったのだ。
何の根拠もなく『定年後の安定の為に、資本金300万ぐらいの会社を買って社長に収まれば安定だよね』と考えている役職付のオヤジと違うのはここである。
では吉田氏は何故今、広告を使った無料配車サービスを始めようとしたのか。
TVやネット広告のターゲットは正確ではない
吉田氏の会社のメイン事業は、企業イベントのプロモーション。
映像クリエイトだけでなく、企業の新発表イベントをする事業だ。
今までこうした仕事は、広告代理店のクリエイティブディレクターに丸投げされていたが、購買層のターゲットを絞る事が難しくなった現在、広告費がそのまま売上に反映されにくくなった。
企業は代理店だけでなくイベント会社や、フリーライターに購買層のリサーチを兼ねて、宣伝や印象操作の仕事を与える様になっているのも事実である。
『他人が勧めたものは、自分にとって興味のあるものとは限らない』という日本で、クラウドファンディングは定着しづらいとされていたのは5年前。
この会社は『お年玉.com』を’12年1月に立ち上げ、若い人が自分のやりたいことをネット上で発表し、応援したい人がいればワンコイン(500円)ずつユーザーが投資するというシステムを作った事から、クラウドファンディングの仕組みが日本に広がっていった。
『お年玉~』は、着眼点は良かったものの、法律に触れる部分があったので、賛否両論が沸き起こり、企画そのものがなくなってしまった。
だがリアルな場で誰がどこで、何に興味を持ってるのかを、きちんと把握した上で、広告媒体を流せば、ターゲットに当たるのではないか、という吉田氏の考えは、今も昔も変わっていない。
その手段として選んだのが、たまたま『無料配車サービス』だったのだ。
その仕組みは具体的にどういうものなのか。
理想ではあるが問題点も
無料タクシーの仕組みはこうだ。
ユーザーは、nommocのアプリを起動し、アプリに年齢、性別、趣味などの情報を入力。
乗車中は料金がかからない代わりに、広告が流れる。
利用回数が増えれば、属性データが蓄積されるので、広告のミスマッチが防げるというのだ。
吉田氏は、ホテルや病院の送迎車と同じ仕組みで事業を行うとしているが、幾つか疑問や課題点が残る。
ホテルの送迎はいつも決まったルートを走っているが、タクシーはそうではない。
タクシーは地域ごとに運賃幅が設定されているので、従わない場合は、国土交通省からの許可が下りないのだ。
クラウドファンディングサイトで投資した人は、これらの問題点を考慮していたのかと思う。
『稼ぐタクドラアプリ』を開発し、タクシードライバーの底上げを計るタクシー業界のコンサル会社『タクシーデータサービス』の関隆氏は、吉田氏の発想は斬新としながらも、疑問を抱く。
年収1000万を稼ぎ出し、定期的に講習会を開く関氏は、業界の叩き上げであり、カリスマだ。
関氏は、Uberが’15年2月に福岡で実験的にライドシェアして『白タク』を禁止する道路運送法に接触し、中止に追い込まれた事を挙げた。
その他にも、長年の経験から、広告費だけで人件費やガソリン代、車の整備代を賄う事が出来るのかと心配している。
京都のヤサカタクシーは、無料でタクシーが呼べる電話をスーパーや百貨店に設置しているが、その代わりに、後日タクシーを呼んだ人の家に、広告主からの電話が入る仕組みになっている。吉田氏の発想は取り立てて斬新ではないという考えもある。
まずは法律に違反しないかが課題となるが、私はそれ以上に吉田氏の『成功体験しか持っていない』という人生の方が気になる。
タクシー業界に流れ着く人の多くは、成功体験ばかりの人とは限らない、むしろその反対の人が多い。
吉田氏は『何もしたい事がないという人の気持ちが判らない』と豪語するが、これは企業のトップとして反感を買う要因にならないだろうか。