アメリカの関税引き上げで日本のメーカーが考えるべきこと
- 2018/10/07
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日米貿易に暗雲か?
アメリカのトランプ大統領は、対外貿易赤字に神経を尖らせ、対日関係においては自動車への関税アップを示唆しています。具体的には、安全保障にかかるものとして、商務省に関税引き上げの検討をさせているというものです。
現在、乗用車の輸入については2.5%の関税がかけられていますが、引き上げが実現すると22.5%という高率になります。実に9倍になってしまうわけです。
ここまで大きな関税がかかるようになれば、日本車が売れなくなってしまうと危惧する声が出るのも仕方ありません。しかも、日本からの直接的な輸入ではなく、他国を経由してアメリカに入ってくる日本車についても大きく関税を乗せるといわれています。
そうなると、およそアメリカにおける日本車の購買意欲は悲しいものになりかねません。
ただし、トランプ大統領がどこまで本気なのかわからないという面もあり、早計に結論を予測するのも考えものです。
そもそも、日本車に大きな関税を乗せてアメリカが得をするのかという問題もあります。
輸入車のシェアが落ちれば、国内メーカーが活況を呈し、雇用も拡大安定していうことなし!と考えるのはあまりにも短絡的であり、アメリカ国民の中からも、それほど単純な話ではないとの声が上がっているようです。
もちろん、アメリカといっても立場によって利害は対立します。日本車など海外メーカーの自動車を輸入して販売しているディーラーや、外国車ユーザーからは反発が起きて当然です。しかし、そうした層だけが否定的な意見を出しているわけでもないといいます。
170万台級の大量輸出をしている日本にとって、この関税引き上げは到底受け入れられないものとして、日米関係の悪化を招くのではないかと危惧する声も聞かれます。
関税引き上げは取引材料か
また、アメリカ国内にも工場を持っており、アメリカ国民の雇用を確保する上で大きな役割を担っているのが日本の自動車メーカーでもあります。
関税が上がれば現地生産量を増やせばよい。トランプ大統領もそう思っているだろう。ともいわれますが、これまたそう簡単な話ではありません。
現在、日本で生産してアメリカに輸出するのには各社さまざまな理由があります。物理的には可能であっても、政策的に不可能という面があるのです。つまり、すべてをアメリカでの生産に切り替えればよいというものでもない現実があります。
その前提で、170万台の輸出が大幅に減少する事態にでも陥れば、日本国内の基盤が揺らぐ事態にもなりかねません。そうなれば、アメリカで生産している場合ではないという流れになる可能性もあります。(大方の見方はアメリカへの工場移転が進むというもののようですが)
そもそも、部品にもドカンと関税がのしかかるということになれば、アメリカの工場で使用する部品のコストも大幅アップするわけです。
いずれにしても、関税を引き上げて得をするというものではなく、どちらかといえば、相手国に対するプレッシャーの意味が大きいと考えられます。これまた、トランプ大統領の得意とするところでしょう。
では、プレッシャーをかけて何を狙っているのか?
これについては、日本とのFTA狙いだとかいわれていますが、定かではありません。何しろ、相手はあのトランプさんです。
リップサービスに過ぎないとの見方まで出ているように、真に受けると損をする可能性も少なくありません。とはいえ、仮に関税引き上げが実現してしまうと、日本のメーカーにとって大きな痛手となることは間違いありません。
そのときに、日本のメーカーは地球上での商売のあり方を考え直す必要が生じるでしょう。少なくとも、内需だけで商売をできないのであれば、こういったケースを想定した商売の仕組みを検討しておく必要があります。