70周年を迎えたポルシェの歴史

  • 2018/06/18
  • ライフスタイル・娯楽
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博士の理念を受け継ぐ、ポルシェ356

博士の理念を受け継ぐ、ポルシェ356

SUVの「カイエン」、「マカン」そして、4ドアセダンの「パナメーラ」。
発表されるモデルが次から次へと大ヒット、業績が好調の「ポルシェ」が今年で70周年を迎えます。それを記念して記者会見がおこなわれたり、Web上には特設ページが開設されたり、イベントやキャンペーンがおこなわれたりと、賑やかなことになっているのですが、車好きの皆さんの中には、今のポルシェをみて苦々しく思っている人も多いこ とでしょう。

「え? 何の利害関係もないドイツの自動車メーカーに対して苦々しいもなにも」……そんな風に思っているあなた!!そんなあなたのために、ポルシェ70年の歴史をお話しましょう。これで、現在のポルシェを苦々しく感じる理由がわかってもらえるはずなのです。

ポルシェのルーツは創業者にして天才技術者であるフェルディナンド・ポルシェ博士が1930年ごろに設立したデザイン事務所までさかのぼることができます。
その後、自動車メーカーとして本格的にスタートしたのが1941年、スポーツカー・ポルシェ「356」の開発を開始、そしてスピンオフしたのが1948年、つまりココから数えて70周年ということですね。

この356を手掛けたのは博士の息子であるフェリー氏なのですが、設計は博士の設計した稀代の名車・フォルクスワーゲン「タイプ1」の影響を色濃く受けたものでした。すなわちエンジンを車体の後部にレイアウト、後部のタイヤを駆動させるという「RR」方式を取っていたのです。

RRがなぜ優れていたのか?
まず、重量があるエンジンを駆動輪の上に置くことで、動力を地面に効率的に伝えることに成功しました。それによりフロント部の軽量化に成功、ハンドリングを容易、かつキレのあるものにしました。加えて大きくてかさばるエンジンをリアに載せることで、2人が乗っても余裕のある室内まで実現したのです。

おかげでポルシェ356は大ヒット、小型スポーツカーのお手本となり、1965年まで製造が続けられました。

 

速そうな設計をパッケージすることがポルシェの魅力

速そうな設計をパッケージすることがポルシェの魅力

そんな356の後継として、1964年に発表されたのがポルシェ「911」。
現在までこの名称は使われ続けていますし、いうまでもなくポルシェの象徴。設計したのは博士の孫であり、フェリー氏の息子に当たるアレクサンダー氏、エンジンレイアウトはVW・タイプ1、そしてポルシェ・356から続く伝統のRRなのですが、特筆すべきは新たに開発されたエンジン。空冷水平対向6気筒が搭載されていたことでしょう。

なぜ空冷なのか?理由は水冷の方が小さく設計できるから。
なぜ水平対向なのか?理由はエンジンを平べったく設計できるので、低重心化が実現できるから。

うん、わかりやすいですね。356でRRを採用した理由について述べたところでもお分かりいただけるとは思うのですが、ポルシェ・911の魅力とはわかりやすさにある。「なんだか速そうじゃん!!」というのが、設計を言葉にした時点で伝わるのです。
そんな設計をパッケージングしたところ、唯一無二としかいえないスタイリングができあがる。すなわち、何も入っていない平べったいだけのフロントにライトを付けると、遠くまで照らせないからという理由で、飛び出した位置にライトをレイアウト、911おなじみの「カエル面」ですね。リアには平べったいエンジンが入っている、だからグラマラスとしかいえないボリュームのあるデザインになるのです。

 

「男子心」にジャストミートのがポルシェなのだ

もちろん、ポルシェが70年間という歴史の中で手掛けてきた車種は356や911だけではありません。コンパクトで比較的安価な「914」や、ラグジュアリーさを加えた「928」、マツダ・サバンナがデザインを丸パクリした「944」といったFRモデルもあります。

しかし、ポルシェの本流はやっぱり911。話を聞いただけでも、いかにも速そうという設計がそのまま形になった、オヤジの中に眠る男子心をワクワクさせてくれる911なのです。

まあ、エンジンの小型化とかパワーステアリングとか、技術が進歩した現在ではRRの利点などありません。また、伝統の空冷エンジンの採用にしても1993年には取りやめていますから、本当の911などすでにないという人もいます。

 

今年はついに、EV・タイカンを発表か?

今年はついに、EV・タイカンを発表か?

でもねえ……少し前のポルシェならば911は別格としても、いかにも速そうな男子心を刺激する車種しか手掛けていなかったと思うのですよ。売れるからといって、背の高いSUVや実用性の高いセダンなんて手掛けなかったと思うのですよ。
犬助はそこが残念に思う。ポルシェは速い車だけを造り続ける、孤高のメーカーであってほしかった!!つまり、これが現在のポルシェを苦々しく思う理由です。

でもね、会社は収益を上げ続けなければ存続することはできません。
ですから、カイエンやパナメーラを手がけるという懐の広さ=ポルシェが70年間も存続してきた理由なのでしょう。
だいたい大昔には、旧ドイツ軍のティーガーを手掛けていましたし、トラクターすらポルシェは手掛けていたのですから。
などと考えていたら間もなくポルシェは「タイカン」なるEVを発表するとのこと。おお、70周年を迎えて、どこまでも懐が広いポルシェ……でも、今のポルシェはどうなんでしょうね?

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アントニオ犬助
アントニオ犬助
みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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