久しぶりの乱闘劇~阪神vsヤクルト

野球の乱闘は一種のセレモニー

2017年4月4日、大阪の京セラドームで行われたプロ野球の阪神vsヤクルト戦。ゲームはヤクルトが3対1で勝利を収めました。この試合の5回表、ヤクルトの攻撃中に打者畠山への投球が頭部近くへ向かい左肩に当たります。もんどりうって倒れこんだ畠山がゆっくりと起き上がりマウンド上の藤浪投手へ向かいだしたところで両軍ベンチから選手が集結。

と、ここまでは毎度お馴染みの光景と言えるでしょう。しかし、ここから先がいつもとは異なります。遅れてヤクルトベンチからやってきたバレンティンが走りこんで、阪神の矢野コーチに接触。矢野コーチは転倒し、起き上がるやバレンティンめがけてジャンピングアタックへ。その後、2人は少しもつれて引き離されます。

デッドボールを投げた藤浪と受けた畠山には関係のないところでのファイト。プロ野球ではよくある話ですが、ここまでの乱闘は最近なかったように感じるオヤジも多いでしょう。しかし、動画をよくみると、バレンティンは明確に攻撃をしかけたわけではなく、お決まりのセレモニーの一環として行ったようにも見えます。当たり所が悪くて、あのような結果になったのではないかと。ただ、本人は謝罪の意を表す中で、仲間を守るための行為だったとしており、偶然ではないことになりますが。

暴力行為の当事者となった2人は退場、警告試合としてゲームは再開となりました。また、翌日にコミッショナーからバレンティンに制裁金20万円と厳重注意が、矢野コーチには15万円と厳重注意の処分が出ています。

 

法治国家で許される乱闘

毎度、プロ野球での乱闘行為が刑事事件にならないのが不思議だという人もいるようです。医師が手術で患者の身体を切開しるとか、ボクサーが試合で相手を殴り飛ばすとかであれば、正当な業務の遂行であって刑事罰を受けるような話ではありません。しかし、プロ野球選手の業務は試合中に乱闘を起こすことではありません。そこに正当性は無く、遵法精神の欠片もないと非難されても仕方のない行動です。

とはいえ、試合に熱くなっているからからこその出来事であるとして、違法性を阻却する考えもあります。また、セレモニーなのだから目くじらを立てる必要は無いとの意見もあります。ただ、制裁を科される行為である点を考えれば、乱闘禁止令が出されても良さそうなものです。もっとも、そんなプロ野球が面白いかどうかはわかりません。あとは、面白いことと規範意識とを天秤にかける話でしょうか。

現実には、衆人環視の中で行われている局地的な争いで、内部的な処分も受けており、立件するほどの事件ではないというのが妥当なところなのでしょう。しかし、熱い戦いは乱闘ではなく試合の中身で見せてくれというのが、不甲斐ない戦いを続けるチームへの要望でしょう。

同時に、死球を受けた選手そっちのけでの乱闘よりも、選手のケガの状態などを気にしてくれと言っておきましょう。当たった場所が肩で元気そうだから大丈夫ではあるでしょうけど。ともあれ、オヤジにとって、今年もいろいろな視点から楽しめるプロ野球になりそうです。

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