今の車にはない?光岡自動車の魅力は高い「志」だった!

おぼえていますか?日産が手がけた「パイクカー」

今を思い起こすこと、30年ほど前。レトロなルックスをしたパイクカーのブームがあったのをおぼえていますか?パイクカーとは特徴的な外観を持った車のこと。ベースとなる車の外観のみに手を加え、人目を引くような仕様にしたものです。

当時、様々な車種が販売されていたのですが、中でも日産「Be-1」、「パオ」、「フィガロ」、これら3台のインパクトは当時、相当なものでした。
これらレトロなパイクカーの魅力といえば、何といっても外観に尽きます。
先述のフィガロを始めとした、3台のベースとなっている車種は日産「マーチ」K10型、これにレトロなガワを被せただけですから走りに何の面白みもないし、レトロな味もない。
そんな理由もあってか、ブームも一時的なものとして終了してしまったのです。

現在ではパイクカーは、ほぼ全滅。あのブームもバブルのあだ花だったのではないか?と、今となっては感じられるほどです。

 

光岡自動車の代表作「ビュート」

しかし、レトロなパイクカーは死なず!!とばかりに、一人気を吐く自動車メーカー。といえば、「光岡自動車」。
資本金は1億円、従業員数は400人弱という堂々たる企業ではありますが、まあ他の自動車メーカーと比べてみると、その規模のつつましさたるや歴然としたもの。本社が日本海側の富山市にあるというのも、その異色さを際立たせているのです。

そんな光岡自動車の代表車種は「ビュート」。
一見すると外観は、1950年代に一世を風靡した往年のジャガー「Mk1」、その優美なボディラインは特筆すべき物がありますが、ベースとなっている車両は3代目・日産「マーチ」ですからボディサイズが全く違う。それをカワイイ!!と、取るかどうかはオーナー次第といったところです。

加えて、個人的に何ともいえない気持ちになるのが内装部分。
特別仕様車やアフターパーツもあるのは犬助も承知の上。ですので、決して一概にはいえませんが、標準仕様のビュートの内装は誰がどこから見てもベース車両のマーチそのまま。

見る限りそれは何ともプラスチッキーな残念な出来栄え。

外装をがんばっている分、そのショボさが何とも際立ってみえてしまうものです。

※あくまでも犬助の個人的な意見ですのであしからず。

 

光岡自動車謹製の1台「オロチ」

一方で、忘れてはならないのが「オロチ」の存在。
特徴は光岡自動車の他の車種と異なり、パイクカーではないという点。フレームも自社設計の自社製造、エンジンを始めとして他社からの流用パーツは多数に上るものの、光岡自動車オリジナルの車種となっている点です。

でもねえ、このオロチ……どう考えても犬助の感覚では狙い過ぎなんですよ。

見た目こそは唯一無二、価格も1,000万円近いですから、スーパーカーと呼ぶのにふさわしいものなのですが、走りが違う。横幅は2m超、車重も1.5t超というサイズに対して、エンジンは3.5リッターとややパワー不足なのが何とも残念なところなのです。

もちろん、その点については開発している光岡自動車も充分に自覚的で、コンセプトは「ファッションスーパーカー」とのことだとか。スタイリングこそスーパーカーだけれども、日常的に気軽に使える1台ということですから、何も間違ってはいないのですが……犬助は”何かねえ”とつい思ってしまいます。

 

その志ゆえに、自動車業界を刺激し続ける

さて以上、犬助が考える光岡自動車の残念なところばかりを、あえて書き連ねてみました。
しかし、こんな光岡自動車には、他の自動車メーカーには決してない大きな魅力があります。それは、自動車業界を楽しくしようと考えているところ。面白い車を生み出そうと努力しているところです。

例えばオロチのバリエーション「オロチ・ゼロ」は「日本車人気復興大作戦」なるプロジェクトの一環として手掛けられたとか。いやいや、日本車は世界中で売れているしとか、復興も何もダメになったことはないしとか、そんな風に感じている人にとっては何も感じないプロジェクト名でしょう。

しかし、「周りを見渡すとつまらない車ばかり!」そう、犬助のように思っている人ならば、いかに光岡自動車が高い志をもったメーカーであるかがわかるはず。

だって数々のパイクカーにしてもオロチにしても、どう考えても爆発的なヒットは見込めない車種を、それでも採算を取りながら造り続けているという姿勢は、他の大手自動車メーカーがやろうとはしないこと。
その姿勢だけでも、やはり光岡自動車は称賛すべきメーカーだと思うのです。

聞けば、光岡自動車の創業者である光岡進氏は、自動車ディーラーの体質が合わずに退職・独立を決意して、現在の礎を創り上げたとか。その根底には、自動車業界を少しでも面白いもの、刺激的なものにしようと努力し続けてきた様が感じられるのです。

以上、賛否両論あるかもしれませんが、
犬助としては、光岡自動車の魅力と聞かれれば、それはずばり「他社にはない志である」と答えます。

皆様はいかがでしょうか?

この記事の作者

アントニオ犬助