近頃よく見かける「無濾過」の日本酒って、いったい何だ?

ここ数年、通の間では「無濾過酒」が大評判

「日本酒選びは難しくて」とよく言われます。ビールやウィスキーと違って銘柄が極端に多い(一説では2万超)上に、ラベルを見ても門外漢にはちんぷんかんぷん。「特別純米酒」と「純米酒」はどう違うの……と、迷うこともしばしばです。
そこへもってきて、最近また素人には意味不明の種類が出てきました。ここ数年日本酒通の間で大評判の「無濾過酒」です。

 

 

「無濾過酒」と「濾過酒」との違いは?

無濾過とは何ぞや? 無濾過っていうくらいだから、濾過しないんだろ。じゃあ、日本酒の濾過って何だ? マニアは別として、普通の酒飲みはここで行き詰まってしまいますね。
わけ知り顔で通ぶろうとしたら言葉に詰まって恥をかいたなんてことにならないよう、以下、簡単に説明を。

 

 

濾過は、酒の味に大きく影響する

日本酒は米と麹に酵母を加えて酒母を培養し、次に水を加えてもろみに仕立て、これを発酵させて造りますが、これによってできあがる原酒には「おり」と呼ばれる白い浮遊物が混じっています。また、目には見えませんが、雑菌もあります。これらを取り除くのが「濾過」です。
濾過には①炭素(木炭)濾過と②フィルター濾過の2つの方法があり、どちらもおりや雑菌をきれいに除去できますが、濾過の加減によっては味に影響が出ます。特に、炭素濾過は、やり過ぎると香りや旨みが失われ、味に深味のない薄っぺらい酒になると言われます。
そういう味への影響を避けるために濾過をしないで造られるのが、「無濾過」の日本酒です。

 

 

おりや雑菌の除去を最小限に抑えたのが無濾過酒

といっても、実際の製造は、必ずしも額面どおりではありません。原酒に混じったゴミを取り除く最低限の濾過を行うが、炭素濾過はやらない酒が「無濾過」と表示される場合があります。また、おりを樽の底に沈め、その上澄み部分だけを瓶詰めして「無濾過」と表示される場合もあります。
ですから、同じ無濾過酒でも製法は微妙に異なるのですが、大がかりな濾過を避けた結果として、酒の味には濾過酒との違いが出ます。その特徴を一言でいえば、濃厚で旨みが強いということです。

 

 

ストレスがたまる毎日を送る人こそ無濾過酒を

人は、重労働や心労が重なってストレスがたまると、味の濃いものを求めるといわれます。酒も同じで、疲れがひどいときに飲む無濾過酒は格別の味わいがします。
濾過酒と無濾過酒は、ボトルやラベルがなくても区別がつきます。濾過酒が無色透明なのにひきかえ、無濾過酒は米の色がそのまま残ったような薄い琥珀色をしているからです。この琥珀色は、ビジネスマンとしてのキャリアを積むとともにストレスも大きくなる一方のあなたの救いの神になるかもしれませんよ。

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