ヒンデンブルグオーメンという亡霊現る?

株式市場を覆うあの飛行船の影


6月になってアメリカ市場では、将来の株価暴落サイン「ヒンデンブルグオーメン」の点灯が大きな話題となっている。
盲目の学者ジム・ミーカによって編み出されたそのサインは、当初は単なる「弱気」サインと呼ばれていたものの、その後同時期に起きた飛行船「ヒンデンブルグ」号の事故にかこつけられ、物騒な名前を持つことになってしまった。

ヒンデンブルグもすごいが、オーメンもまたすごい。
オーメン自体は「予兆」という意味にすぎないが、なにしろあの大ヒットホラー?カルト?映画のインパクトがすごすぎて、666やダミアンの姿しか頭に浮かばない。
日本でいえば「犬神家の貞子」みたいな二乗の呪いを背負った名前!
このサインが示す株価の未来とは、いかなるものになるのか。

 

NYダウはそもそも、高い


過去の点灯シーンを回顧するまでもなく、現在のNYダウはそうとう割高である。
というか、何を正当化してここまで上がってきたのか、なぜ下げらしい下げを経験せずに駆け上がってこれたのか、だれも本当のところはわからない。
ただ「上げるから、買う」「下げないから、売らない」の惰性が止まらないだけなのである。

ヒンデンブルグオーメンが点灯すると、営業日で数えて2か月の間に4割の確率でパニック売りが発生、歴史に残るクラスの暴落も2割以上の確率で起こるという。

下げる余地は十分すぎるほど、ある。

 

舞台がないと、飛び降りられない


しかし、このサインを解説する輩の中には、「そもそもサインを怖がっている段階では暴落は起きない」とする向きもある。

たしかに株式市場とは不思議なもので、みんなが当てにするチャートでさえ、「あてにするからその通り動き、その通り動くからみんながあてにする」という専門家もいるくらい。

ということは、今までは「下げようとしても、そのきっかけがなくてモジモジしていた」のが真相であり、この不吉なサイン点灯を「やれやれ下げ」のよいきっかけにしようとする悪いヤツらがいるということか。

理由なき上昇を打ち消すには、理由なき亡霊に手伝ってもらうのが一番、なのかもしれない。

 

ナスダックの不吉な下げ、始まる


昨今、NYダウとは一線を画して、ナスダックの自滅下げが目立つ。
世界恐慌の引き金となった1929年のウォール街大暴落時でさえ、直前に当時の最高値を更新した後、なぜか株価は小幅な下落を繰り返していたという。
そう、暴落というのはなにもチョモランマの頂上から落ちてくるわけではない。
むしろ頂上からベースキャンプに降りる、その途中で足を踏み外すことの方が多いのだ。

ナスダックの下げは、ヒンデンブルグオーメンの第一歩か。
それとも……。

この記事の作者

のりき 夢丸