高校野球の紹介で50メートル5秒台!って選手が多いけどこれはホント?

高校球児の50メートルが5秒台

夏の甲子園がスタートし、高校球児の活躍を見ていると青春を思い出すものです。そんな中で、高校球児の紹介でビックリしたのが、複数の選手が50メートル5秒台と紹介されていることです。50メートルを5秒台で走るのは並大抵のことはありません。

それだけに、本当に高校球児が50メートル5秒台なのか気になります。そこで今回は、高校球児の50メートル5秒台はホントなのか調べてみたので紹介していきます。

 

5秒台はウソの可能性が大!

単刀直入に、高校球児が50メートル5秒台である可能性は低いです。不可能とは言わないものの、現実的に厳しいタイムとなっています。なぜなら、50メートルの日本記録保持者は朝原宣治氏であり、その記録が5秒75だからです。朝原氏といえば、100メートルで10秒02の歴代4位の記録を持っています。そんな朝原氏ですら、5秒75という記録なのです。

しかも、朝原氏は陸上用のスパイクを履いて走っているはずであり、高校球児よりも好条件で走っている可能性が高いです。陸上界のトップと高校球児、どちらが速いのかは火を見るよりも明らかでしょう。陸上のスパイクで走っていないであろう高校球児が、朝原氏と同等の速さで走っているとは考えられず、やはり高校球児の50メートル5秒台はウソの可能性が高いのです。

 

原因は測り方にある?

「ウソの可能性が高い」とは言ったものの、虚偽申告をするとも思えません。そこで考えられる原因は測り方です。陸上競技のタイムは電気計時によって測定されるため、狂うことはなく、正確なタイムを測ることができます。

しかし、高校球児が50メートルを測る際には、手動で測定するのが一般的となっています。わざわざ電子計時で測る機会はないため、高校球児はストップウォッチを使って手動で測っているはずです。実は、手動でタイムを測定する場合、基本的に記録が速くなってしまうとされているのです。

 

手動だと記録が早くなる理由!

①スタートのタイミングについて
手動だと記録が速くなる理由としては、スタートが挙げられます。電子計時で測定する場合、スタートの合図と同時に電気信号で記録がスタートします。しかし、ストップウォッチの場合は、50メートル先に測定者がいるため、旗を振り下ろすなどでスタートの合図をします。

ここで、測定者の反応が遅れてしまえば、それだけでタイムは速くなってしまうのです。人間の反応速度には限界があり、どれほど瞬間的に反応できたとしても、わずかに遅れてしまいます。そのため、スタートの段階で手動だと記録が速くなってしまうと考えられるのです。

②フライングの存在
電子計時で測る際には、人間の反応速度を上回るスタートをすればフライングになります。しかし、手動で測定する場合、よほどのフライングでない限りフライングを取らないのが一般的です。そのため、フライングをしている可能性も十分に考えられるのです。

③ゴールのタイミング
ストップウォッチで測る場合、ゴールしたタイミングで止める必要があります。しかし、人によってゴールの判断基準が曖昧です。少しでもゴールラインに触れた瞬間に止める人もいれば、完全にゴールしてから止める人もいるでしょう。そのため、ゴールのタイミングでも誤差が生じる可能性があるのです。

 

高校球児のタイムは参考にするべき!

このように、高校球児の50メートルのタイムは5秒台とは考えにくいのが現実です。しかし、タイムは自己申告であることから、高校のスポーツテストなどでのタイムで申告することでしょう。スポーツテストなどの測定は手動で行うのが一般的であり、どうしても正確さに欠けてしまいます。

その結果、50メートル5秒台という記録になっているのではないでしょうか。そのため、高校球児の50メートルのタイムは鵜吞みにするのではなく、あくまで参考程度に聞き流すのがおすすめです。

この記事の作者

松村 昴