YAZIUP CLUB会員募集中

薬を勝手に増減するなんて…「治療指数」を知ったらできなくなる

  • 2018/08/07
  • 特集
  • 35view
  • 八神千鈴
タグ
  • 暮らし
  • 生活習慣
  • 病気
  • 病院

素人判断で薬を増減するのは百害あって一利なし

素人判断で薬を増減するのは百害あって一利なし
若いころにやんちゃしたツケが回ってくるオヤジ世代。血圧や血糖値を下げるために薬を常用している方も多いのではないでしょうか。もちろん風邪をひいたり胃が痛かったりするときも、薬のお世話になることが多いですよね。
だけどついついやりがちなのが、素人判断での増減。「今日は調子がいいから少なくていいかな」とか「体調が悪いからたくさん必要かな」と考えて、指示された用量を守らずに使ってしまう患者は意外と多いのです。

しかしこの行為は薬を無駄にしてしまったり、ときには非常に危険だったりもします。薬の用量が決まっているのは、ちょうどいい薬効を得るためだけではありません。
まったく効果が出ない量より多く、さらに毒性が出る量より少ない範囲をよく考慮したうえで指定されています。

つまり、量を減らせば単純に効果が弱まるわけではなく、まったく効かないこともあります。また逆に、量を増やせば単純に効果が強まるわけではなく、毒性が出て中毒症状を起こすこともあります。
薬は摂取しすぎれば必ず毒になるもの。このため、たくさんの値を組み合わせて安全な用量が判断されているのです。

 

薬の作用に関するさまざまな量の値

薬の作用に関するさまざまな量の値
薬の作用の値は投薬量に比例して、まったく効果が出ない「無効量」、薬効が現れる最低量である「最小有効量」、100%に期待される薬効が現れる「最大有効量」、中毒症状が現れる「中毒量」、死亡例が出る最低量である「最小致死量」、そして100%が死に至る「致死量」に分類されます。
このうち最小有効量から最大有効量までが薬としての効果を得られる範囲になり、「治療量」と呼ばれます。

それでは、治療量を用量とすれば問題ないように思えるかもしれません。しかし最大有効量と中毒量の値が近い場合は、量を誤るととても危険です。このため、薬効と毒性のバランスを比較した「治療指数」という値が存在します。
治療指数の出し方は次のようになります。最小有効量と最大有効量の中間値を50%有効量として、薬効の標準値とみなします。さらに最小致死量と致死量の中間値を50%致死量として、毒性の標準値とみなします。このふたつの標準値を比較した結果が治療指数です。
有効量と致死量が離れているほど毒性は出にくくなるため、治療指数が高いほど安全な薬といえます。おおむね10以上は比較的安全で、3以下は危険性が高く扱いが難しい薬です。
治療指数の低い薬は最大有効量まで使うと危険なので、その値よりも少なく設定された限界用量が定められています。

 

治療指数の低い薬が「毒薬」と呼ばれる

治療指数の低い薬が「毒薬」と呼ばれる
特に治療指数の低い薬は薬事法で「毒薬」、「劇薬」に分類されます。
毒薬というと摂取した途端に死んでしまいそうですが、実際には体重1kg当たりの経口致死量が30mg以下のものを指します。とても危険なので、施錠した保管庫での管理が必須です。正しく使えば重病の治療に欠かせないものばかりで、たとえば鎮痛作用のあるモルヒネや胃潰瘍の治療に使われるアトロピンなどが指定されています。

劇薬は毒薬よりは毒性が低く、体重1kg当たりの経口致死量が300mg以下のものを指します。施錠した保管庫に置く義務づけはありませんが、ほかの医薬品と区別した厳重な管理体制が必須で、やはり危険な薬です。実は抗炎症作用があるインドメタシンや強心作用があるカフェインなど、身近な薬も劇薬指定されています。
カフェインの入った栄養ドリンクを飲みすぎて亡くなる人がいますが、劇薬を大量に摂取したと考えれば気の毒ですが当然の結果なのです。
治療指数が高く安全な薬は「普通薬」と呼ばれます。毒薬や劇薬ほど扱いは難しくありませんが、摂取しすぎれば毒になる点は同じ。どんな薬も慎重に研究されて治療指数が出され、効果的かつ毒性の出ない用量が決められています。
薬は勝手な判断で適当に使用せず、正しい用量を守りましょう。

この記事につけられたタグ

  • 暮らし
  • 生活習慣
  • 病気
  • 病院

関連する記事

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
up 八神千鈴
八神千鈴

週間アクセスランキング

人気カテゴリランキング

ページTOPへ
ページTOPへ