警察官の階級なんて生活に関係ない？

普段の生活の中で警察官の階級を気にすることなどないでしょう。それ以前に、警察官に階級があることは知っていても、具体的にどのような階級制度になっているかを知っている人は非常に少ないと考えられます。

「巡査部長は部長というくらいだから高級幹部だろう。」そんな風に思っている人も結構います。実際がどうであれ、それで日常生活になんの影響もないのですから知らなくて当たり前かも知れませんね。

一般的に、警察との接点といえば、以下のものが考えられます。

・運転免許の更新手続
・交通違反
・落し物の届出
・道を尋ねる

どれをとっても警察官がどの階級かなんて気にする必要のないことです。
事件に遭った場合は、警察へ被害届を出したり告訴をしたりします。その場合は、警察官の側では階級が重要になります。法律上は司法巡査と司法警察員の違いがあり、刑事訴訟法での業務処理が異なるからです。
しかし、国民市民の側では相手の警察官が司法巡査でも司法警察員でも事実上同じことです。

知っていてもメリットがないと思われる警察官の階級ですが、何でも知っていた方が得なのは間違いありません。たとえば、趣味で観ている某テレビドラマでは警視庁捜査一課の課長が警部だったりします。しかし、現実には警部が捜査一課長なんてあり得ない話なのです。警視庁では2つ上の警視正が一課長を務めます。

刑事ドラマはフィクションですから、実際と異なるところがあるのは問題ではありません。しかし、知らなければ事実と誤認する可能性があります。やはり、無駄知識でもあった方が良いでしょう。

おさえておきたい警察官の階級

警察官の階級は警察法に規定されています。
一番上の警視総監から一番下の巡査まで9段階になっています。それぞれの階級がどのような役職・任務に当たるのかをおさえておきましょう。

警視総監…日本警察のナンバー2であり、警視庁の本部長である警視総監と階級名が一緒
警視監…警察庁次長、各局長、管区警察局長、警視庁各部長、大規模道府県警察本部長など
警視長…警察庁課長、大規模道府県警察本部警務部長、小規模都道府県警察本部長など
警視正…道府県警察各部長、警視庁刑事部捜査一課長、二課長、大規模警察署長など
警視…警察本部課長、理事官、管理官、小規模警察署長、副署長など
警部…警察本部係長、小規模警察署副署長、警察署各課長など
警部補…警察署係長、交番所長など
巡査部長…警察署主任など
巡査…警察署係員など

あれ？こち亀の両さんでおなじみの巡査長がない。
巡査長は警察法に定められた階級ではなく、巡査と巡査部長の間を埋めるための名誉的なものです。階級としては「巡査長たる巡査」であり巡査ですが、階級章では区別されています。

また、警視総監が日本警察のナンバー2ということは、ナンバー1が存在します。それが、警察庁長官です。警察庁長官の職に就くと階級がありません。そのため、警察庁長官は警察官ではないと誤解している人がいます。
しかし、警察庁長官は紛れもなく警察官であり、日本の警察官のトップなのです。

さて、警察官の階級を見分けるアイテムが左胸にある階級章です。光の加減で判別しにくいかも知れませんが、銀一色・銀と金の2色・金一色の3タイプあり、それぞれに縦棒が1本から3本付いています。
銀色から順に「巡査・巡査長・巡査部長」「警部補・警部・警視」「警視正・警視長・警視監」を意味します。

警視総監は制服の肩に4連旭日章が、階級外の長官は便宜的に制服の肩に5連旭日章が付いており、他の警察官とは異なるのです。