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守り育てられた文化は、必ずしも万人の心を揺さぶらないが

  • 2017/07/05
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文化を守り育てようとする姿勢

文化を守り育てようとする姿勢

カルティエのトリニティを取り上げて、フランスには優れたデザインを愛し、敬意を払う風土があるなんて、別項で述べていますが……フランスが敬意を払うのは、デザインだけではありません。映画などにも当然の様に敬意を払う。このことは、いつまでたっても難解な映画しか撮れないゴダールが、御齢80を過ぎても、これまた難解な新作を撮れてしまうということを指しているのではありません。
フランスには、国産映画を国を挙げて盛り立てていこうとする仕組みがあるのです。

「国内全スクリーンの40%は国産の映画を上映しなくてはならない」これはフランスのスクリーンクォータ制と呼ばれる法律。つまり、国を挙げて国内の映画産業を保護しようとしているのです。まあ、退屈なフランス映画よりも、ド派手なハリウッド映画の方が高い興行収入が見込めるということで業界内からも非難はありますし、アメリカからは非関税障壁の一種として、圧力がかかったりしています。しかしフランスは頑として、スクリーンクォータをやめようとしないのです。

 

AOCという仕組みがあるフランス

法律で国内のものを守ろうとする、こんな仕組みは映画にとどまりません。例えば「カマンベールチーズ」といったものにも、そんな仕組みが作られています。

カマンベール、正確には「カマンベール・ド・ノルマンディ」と名乗ってよいチーズは、フランスのノルマンディ地方で、特定の製法で作られ、木箱に納められて出荷されたチーズのみ。チーズだけではありません、ワイン、ブランデー……加工食品だけでなく、単なる農産物まで数々の食品のブランドが、フランスでは法律により守られているのです。

これをAOC(Appellation d’Origine Controlee=アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)といいます。日本語では「原産地統制呼称」なんて訳されたりしますよね。

 

フランスが守り育てているからといって……

伝統的製法を守りフランス政府も保護している「カマンベール・ド・ノルマンディ」

ですから雪印が製造している「北海道カマンベールチーズ」はけしからん!!AOCに抵触しているではないか。何て話をしたいのではなりません。大体、AOCで保護されているのは、カマンベール・ド・ノルマンディ=ノルマンディ産カマンベールであって、カマンベールというチーズの種類ではありませんから、北海道カマンベールは問題ないのです。

そういう話がしたいのではなく、ここで取り上げたい問題は、伝統的製法を守りフランス政府も保護している「カマンベール・ド・ノルマンディ」、これが「不味い」という話。

いや、以前連れていかれたバーにチーズ・シュバリエなる資格を持つ人がいてAOCの話やら、それに合う酒の話やらをしてくれたのですが、肝心のカマンベール・ド・ノルマンディが実に不味かった。いや、その他のAOC認定の数々の銘柄のチーズがことごとく不味かった。いや、不味いという言葉が相応しくないならば、ゲスな私の舌の理解を超えていたのです。

 

文化を育てることと、それをローカライズすること

文化を育てることと、それをローカライズすること

「日本とEUの自由貿易をめぐる協議で、EUからのソフトチーズ関税撤廃で調整が進んでいる」……先日、こんなニュースを耳にして、あの一連のフランス・チーズの味わいが、まざまざと思い起こされたので、こんな話をしているのです。この動きに、日本のチーズに携わっている人々は怒ったりするのでしょうけれど、まあ心配しなさんな。本場のもの……とりわけ発酵食品は……そう他の地域で受け入れられるものではありません。よっぽど北海道カマンベールチーズの方がうまいから。

ですから、海外のチーズなる産物を日本人の口に合うようにローカライズした、雪印他のメーカーはえらい、ということ。そして映画でも食品でも国が、ある程度は保護してやらなくてはならないのかもしれない。そして、そんな積み重ねがカルティエのトリニティのような美しいアイコンを生み出す土壌になるのかもしれない、という話。
ならば、芸能は守り育てなければいけないのか? というと、これまた別の話になるのですが。

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