リーダーはどうあるべきか悩むビジネスマンに捧げる、唐の政治問答集・『貞観政要』の名言3選

  • 2017/11/07
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  • 八神千鈴
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リーダーのあるべき姿を説いた『貞観政要』

リーダーのあるべき姿を説いた『貞観政要』

7世紀から9世紀初頭にかけて中国を支配した王朝・唐は、最盛期に中央アジアまで進出した大国家です。
中でも2代皇帝・太宗の時代は中国史上最も安定した時期といわれ、その優れた政治手腕は当時の元号を取って「貞観(じょうがん)の治」と呼ばれました。
太宗が理想的な政治を実現できた理由は、臣下たちの助言を積極的に聞いて取り入れたからこそ。この臣下たちとのやりとりをまとめた問答集が『貞観政要』です。「貞観の治」のエッセンスが詰まった書物なので、中国の歴代皇帝はもちろん、日本でも徳川家康や明治天皇などの為政者が愛読しました。
『貞観政要』は帝王学の書物とされますが、つまりは上に立つ者の心得を解説しています。これは職場でリーダー的役割を担うオヤジ世代のビジネスマンにも役立つ内容です。
そんな『貞観政要』の名言から、3つをご紹介しましょう。

私はいつも三つの鏡をもって自分の過ちを防いでいる

私はいつも三つの鏡をもって自分の過ちを防いでいる

太宗が自分の行動の指針を三つの鏡にたとえて言った言葉です。三つの鏡とは「銅の鏡」、「歴史の鏡」、「人の鏡」を指します。
銅の鏡は自分を映して、身なりや表情を改められます。歴史の鏡は過去の出来事を映して、これから進むべき道を定められます。人の鏡は他人を映して、自分の善悪や足りない部分を確認できます。
太宗は「鏡に映す」という客観視の方法論によって、自分本意にならない判断を下していたのです。
自己中心的な上司は嫌われるというけど、どう対処すればいいのかわからない……という人は、三つの鏡を心掛けてみましょう。

流れる水が清らかか濁るかの原因は源流にある

流れる水が清らかか濁るかの原因は源流にある

環境破壊の例を見るまでもなく、川の上流に汚染の原因があれば下流も汚れて海まで広がってしまいます。太宗はこれを政治になぞらえました。つまり、為政者が間違ったことをすれば臣下や民にも間違ったことが広がってしまうというわけです。
これは職場でも同じこと。リーダーがごまかしや手抜きをすれば、すぐに部下やチームにも悪い習慣が蔓延します。
水の流れにたとえればそれは当然のこととわかりますが、実際の職場でこれに気づくのは案外難しいもの。部下やチームが間違っていると感じたときは、自分が原因かもしれないと考える謙虚さが大切です。

名君と暗君の違いはいろいろな人の意見をきくか否かにある

名君と暗君の違いはいろいろな人の意見をきくか否かにある

太宗が臣下の魏徴に、「名君と暗君の違いは何か」と質問したときの返答がこの名言です。他人の意見に耳を傾けることは大切ですが、同じ人の意見だけをきいていればアイデアや方向性はいつも同じになってしまいます。誰かの意見をきいたら別の人の意見もきいて比較検討することが、本当の意味で他人の意見を取り入れるということになるのです。
また、太宗はあえて厳しいことを言う臣下を多く登用しました。たくさんの部下の意見をきいてもイエスマンばかりでは意味がありません。欠点を指摘してくれる部下は大切にしましょう。

『貞観政要』は現在でも多くの経営者が愛読する名著です。リーダーとしての進み方に迷ったときはぜひ参考にしてください。

名言の引用元:貞観政要

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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